『月光仮面』『七色仮面』『白馬童子』などのTVヒーローもさることながら、自分はへそ曲がりな子供だったゆゑ、どちらかといえば敵役や脇役陣のほうが懐かしい。前稿までとは少し趣向を変えて、いわゆる“性格俳優”を採り上げよう。
前稿と矛盾するが、我が最初のTVヒーローは何といっても『月光仮面』(昭和33年;KRTV=現TBS)である。我家にTVなどなかった頃とて、学友宅での断片的視聴にとどまるが、敵役のどくろ仮面・サタンの爪(武藤英司)の独特な台詞回しと笑い方が未だ耳に残っている。
武藤英司(1918-1999)
昨年亡くなった我が母と同い歳。両親と同世代(明治・大正生まれ)の人たちは、当世風男女像と大いに異なり、男は威厳に満ち、女は弱々しい外見に似合わず心の強さを秘める風格があった。
主なTVドラマ出演
1.月光仮面(昭和33年/KRTV)・・・赤星博士(どくろ仮面)、サタンの爪
2.遊星王子(昭和33年/日テレ)・・・武田部長刑事
3.ダイヤル110番(昭和32年/日テレ)
4.第7の男(昭和39年/フジ)・・・島田警部
5.白い巨塔(昭和42年/NET)・・・野坂整形外科教授
6.お祭り銀次捕物帳(昭和47年/フジ)・・・江戸南町奉行所同心坂本弦之進
7.冠婚葬祭屋(昭和47年/NET)・・・源治 ほか
註)太字は映像所有
レギュラー出演は大凡上記だけで意外に少なく、また悪役に限らないようだ。夥しいゲスト出演の場合は悪役がほとんどだが、『鬼平犯科帳’73』(初代“鬼平”松本幸四郎版/NET)では密偵大滝五郎蔵役で出ていたし、必ずしも悪役ばかりではなかった。。
久野四郎(1927-2010)
件の『月光仮面』祝十郎探偵助手袋五郎八(初代)がこの人。劇中、「お守り」と称して【十手】を持っていた。そのせいでもあるまいが、後の時代劇では岡っ引き役が多い。
主なTVドラマ出演
1.赤西蠣太(昭和33年/日テレ)
2.月光仮面(昭和33年/KRTV)・・・袋五郎八
3.白い巨塔(昭和42年/NET)・・・佃第一外科医局長
4.人形佐七捕物帳(昭和46年/NET)・・・佐七の一の子分辰五郎
5.大盗賊(昭和49年/フジ)・・・岡っ引き辰五郎
6.丹波哲郎版鬼平犯科帳(昭和50年/NET)・・・密偵伊三次
(声優として)チロリン村とくるみの木(昭和31年/NHK)・・・雨蛙のケロッポ
閑話するなら、『チロリン村とくるみの木』といえば、マルチタレント(声優・俳優・DJ・詩人・画家・エッセイスト)の先駆者水垣洋子さん(年齢不詳)が「いたちのプー子」を担当していた。関係ないけど、水森亜土さん(1939-)とつい混同しがち。こちらもマルチタレント(イラストレーター・歌手・女優・画家・作家)だからかも。
天津敏(1921-1979)
両親兄弟とも全員が教師という家庭に育ったのだとか。したがって悪役の多かった役柄に反し、実生活では温厚で人望があったらしい。《人は見かけによらぬもの》とはよく言ったものである。
主なTVドラマ出演
1.豹の眼(昭和34年/KRTV)・・・豹(ジャガー)
2.快傑ハリマオ第5部(昭和36年/日テレ)・・・村雨五郎
3.隠密剣士(昭和36年/TBS)・・・各シリーズの敵役
4.仮面の忍者赤影(昭和42年/関西テレ)・・・甲賀幻妖斉
5.水戸黄門第5部(昭和49年/TBS)・・・鉄羅漢玄竜
上記レギュラー出演のうち、リアルタイムで視ていたのは、意外にも「1」だけだが、数多あるゲスト出演でも悪役以外の作品を知らないほど役柄が偏っていたなぁ。
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