先月の帰国からちょうど一箇月経ったが、この間の更新を怠けてしまった。別に体調を崩して寝込んでいたわけでなく、突然の物欲に駆られていたからだ。視もせず整理もしないで録り貯めするだけの放送録画にそろそろ飽きてきた絶妙のタイミングで、またぞろオーディオへの関心が高まってきた、これを話題にした最後が昨年2月だから、ほぼ一年周期で巡ってくるみたい。オーディオに関しては、WALKMAN(NW-A35)を旅行に連れ出す程度で、在宅時に聴くことは殆ど無くなっていた。
然るにネット上で「バランス接続」なる聞き慣れない用語に目が留まった。何でも左右チャンネルをそれぞれ独立して出力するのだとか。これまでの標準プラグやミニプラグの場合、チャンネル間で若干の混信があるらしい。最新技術(バランス接続)の開発に伴い、5.5㎜標準・3.5㎜ミニのオーディオプラグによる従来の伝送形態を「アンバランス接続」と呼ぶのだそうな。綴りも発音も違うけど何だか救急車(ambulance)を連想しそうなネーミングだなあ。
新技術とあらば試してみたくなるのが人情。ところが困ったことに、規格が統一されておらず、メーカーに拠ってプラグ形状がバラバラの有り様。良く言えば、選択肢が多すぎて迷ってしまう。けれども、現実の選択肢は必ずしも多くない。現有DAP(Sony WALKMAN NW-A35)を活かそうとすれば、バランス接続対応ポタアンを買い増すしかない、Sony純正ポタアンは電池の保ちが悪い上に高価だし、第一、旅行の友とするには嵩張って仕方ない。ポタアンを買い増すカネがあるなら、いっそバランス接続対応DAPに買い換えちゃえ、という結論になった。
狙うはSonyのハイクラス新製品WALKMAN NW-ZX300。ところが、決めた途端に価格が高騰した。人気商品ゆゑ、生産が追いつかなくなったのだろう。結局、税込6万円を切る某中小通販店で購入。だが、これだけでは済まない。ヘッドホン・イヤホンをバランス接続用にリケーブルしなければならない。旅行に持出すことを考えてMMCX用バランスケーブル(Sony型4.4㎜)のonso(音素)製iect_03blm(深紅)を別注文。
製品が届いてさっそく聴いてみた。いやぁ、DAPもケーブルも素晴らしい。MMCX型イヤホンはSHURE製SE835LTDとWestone製WST-W40の二種保っているので、柔らかくて取り回しの良いケーブルに惹かれ、つい従来型ミニプラグiect_02_ub3m(薄桃色)も買い増した。総計約8万円の散財である。色合いからバランスケーブルをSHURE専用に、通常ミニケーブルをWestone専用にしている。さすがは「日本製」である。なお肝腎のZX300は、言わずと知れた我がSONY製だが生産国はマレーシアと記載されている。尤も、SHUREもWestoneも米国企業に相違ないが、製品自体はいづれも「中国製」に過ぎない。各国の大企業が尽くグローバル化してしまった現在、もはやブランドイメージだけで買う時代ではないようだ。
実際、どのように素晴らしいのか。二種のイヤホンは真逆の製品といってよい。SHUREがモニター系で高域再生に定評があるなら、片やWestoneはリスニング系で低域再生に特色がある。おのれの好みからWestone一辺倒で、SHUREは暫く放かってあったのだが、DAPの向上ゆゑか、バランス接続のおかげか、はたまたイヤホン自体のエイジングが効いてきたのか知らないが、高域再生の特徴を損なわず、かつ引き締まった低域も出るようになった。大袈裟に言えば、高級オーディオ装置を携帯できるようになったみたい。こうなるとポタアンなど荷物になるだけで無用の長物と化したも同然。カセットウォークマンが世に出て約40年、家電業界の技術革新は日進月歩の感がある。
ただし、WALKMAN用新PCアプリ【MusicCenter】が酷い。使い慣れないせいもあるが、如何に無料とは言え、とにかく使い勝手が悪い。以前の【MediaGo】のほうがユーザーの身になって工夫された仕様になっていたから、余計にそう感じてしまう。【MediaGo】の後継アプリとして開発されたものではないらしく、他アプリで作成したプレイリストなどは継承されない仕組みになっている。したがって【MediaGo】を入れてあるノートPCのほうは、後発のZX300であってもちゃんと認識するので、現在もそのまま使っている。ただ一点、新機能USB-DACが使えないだけ。でも、そんな必要性はまずないから問題ない。
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