人気時代劇シリーズ第9位に滑り込んだ『銭形平次』(フジテレ;昭和41年)は、過去に採り上げたかも知れないが、洩らした気もするので今回話題にしてみる。この大川橋蔵版は888回(昭和59年)も続いた長寿番組かつ視たのがこれだけとあって、TV版『銭形平次』といえばてっきりこれだけかと思いきや、そうではなかった。
01.若山富三郎版(KR-TV;昭和33年)
02.安井昌二版(TBS;昭和37年)
03.大川橋蔵版(フジテレ;昭和41年)
04.風間杜夫版(日テレ;昭和62年)
05.北大路欣也版(フジテレ平成3年)
06.村上弘明版(テレ朝;平成16年)
う~む、こうしてみると安井昌二版は視ていた気もするがよく憶えていない。さすがは野村胡堂の人気時代小説が原作だけに、六種もあるんですね。ところが地上波・BS・CSを問わず、再放送される機会が多いのは、新しい順に「06」「05」「04」に限られる有り様、「01」「02」はモノクロ映像で時代も古いため、フィルム乃至テープが残ってない可能性もあって再放送されないのも無理ないが、お目当ての「03」も殆ど再放送されることがない。テレビ番組表で『銭形平次』を見つけて期待したところで、ほぼ「04」か「05」・「06」に違いなく、毎回ヌカ喜びさせられている。幸い、BSフジで第158話~第191話(昭和44年放送分)が部分的に再放送されたのを録画してある。リアルタイムで視ていたのは、最初期の昭和41年(モノクロ映像だった)~昭和45年頃まで。ところが約半世紀(50年)を経た今日になって視た感想を問われても返答に困る。毎週のあらすじなどまったく憶えてないのだ。ただ、二代目お静役鈴木紀子さんはこの番組でしか知らないので懐かしい感情はある。
ギネスブックにも載っている世界最長ドラマを誇るが、平次役は大川橋蔵一人で乗り切っている。しかし、最後まで変わらなかったのは主役だけで、他の常連登場人物は度々交代している。またそれがちょうど「節目」となって記憶している
・銭形平次
大川橋蔵(全話に出演)
・お静(平次の女房)
八千草薫(1-157話)→鈴木紀子(158-208話)→香山美子(209-888話)
・八五郎(平次の子分)
佐々十郎(1-52話)→林家珍平(53-888)
・三ノ輪の萬七(平次のライバル)
藤尾純(1-52話)→遠藤辰雄(53-888話)
・お神楽の清吉(萬七の子分)
池俊一(1-779話)→田井克幸(868-888話)
・お品(女目明かし)
宮園純子(1-52話)→城野ゆき(209話ほか)
・笹野新三郎(奉行所役人)
神田隆(1-52話)→根上淳(108話ほか)→黒川弥太郎(469話ほか)
・樋口一平(奉行所役人)
永田光男(108話・158-787話・888話)
・榊兵助(奉行所役人)
下塚誠(625-665話)
・青柳伸之介(奉行所役人)
森田健作(666-787話)
・矢吹圭一郎(奉行所役人)
森次晃嗣(788-867話)
・森川左内(奉行所役人)
滝田裕介(868-888話)
・お弓(小料理屋「ひょうたん」)
鈴村由美(1-157話)→土田早苗(158-262話)
・お民(小料理屋「ひょうたん」)
園佳也子(53-206話)
・為吉
神戸瓢介(53-468話)
・健太
吉田次昭(469-519話)
・善太
京本政樹(788-867話・888話)
上の配役を見ると、リアルタイムで視ていたのは、放送開始後お静役が香山美子に替わり始めの頃(即ち、昭和45年放送分辺り)までになる。だから、八千草薫、佐々十郎、藤尾純、鈴村由美らの顔は憶えているが、後年に森田健作、森次晃嗣、京本政樹らも主要出演者に名を連ねていたとは知らなかった。当たり前だ、再放送さえ未見なのだから。
視聴率欲しさに下卑たお笑いシーンがあるわけでなし、基本的には真面目な番組なのに、何故人気を得たのだろう。勝手な推測だが、世界最長ドラマでありながら、主な配役がコロコロ替わってないから、安心して視られたのではなかろうか。面白可笑しさとは無縁の真面目な時代劇ではあるが、何度視ても飽きない不思議な魅力がある。
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