一箇月以上も更新間隔が空いてしまった。このままでは六月の記事が皆無となり、甚だ体裁が悪い。アリバイ作り的に何か書いておこう。
この間、「(白木の仮)位牌」となった弟を我家に連れてきて暫く同居(?)していた。実家の主たる母が入院中のため、誰も居ないからだ。生前、一度も拙宅を訪れることがなかった弟だけど、まことに皮肉なことである。それも25日(日)の四十九日法要に際し、納める仏壇も場所もないため、正規位牌を作らないことに決め、魂を墓に戻してもらった後、魂を抜かれた「白木仮位牌」はお坊さんに持ち帰ってもらった。ゆゑに、拝礼すべき「位牌」は我家から無くなった。要するに、普段どおりの生活に戻ったわけだけど、ひと月足らずなれど同居(?)の弟が出て行ったようで、妙に寂しい気分になるから不思議だ。
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大方録り尽くしたとは言え、テレビ録画を止めたわけではない。来月からは、時代劇専門チャンネルで『大岡越前』(TBS;昭和45年)が再スタートする。当該チャンネルを契約した2013年にも全十五部が完全放送されていたが、途中からだったので第四部(昭和49年)~第七部(昭和58年)しか録画しておらず、リアルタイムで視ていた肝腎の第一部~第三部が欠けていたので有り難い。確か先発の『水戸黄門』(TBS;昭和44年)と同じスポンサー(松下電器;ナショナル;現パナソニック)で交互に放送されてあり、クールな山下毅雄のテーマ曲が気に入って、どちらかといえば『大岡越前』を愉しみにしていた。
大岡越前 オープニングテーマ曲
初期の頃は両作とも、尋常小学校卒の苦労人で「ナショナル」の創業者松下幸之助(明治27年-平成元年)の意向だったのか、現代倫理・道徳教育とは似て非なる修身教科書的要素が色濃く反映しているように思う。つまり、全篇ではないにせよ我国の伝統的な浪花節(泣かせる)手法を忍び込ませてある。第八部以降を録画しなかったのは、第六部辺りからテーマ曲が改変され、あまつさえレギュラー・準レギュラーの脇役陣がほぼ一新された結果、視るに堪えぬ粗製濫造ののB級作に堕したからに他ならない。
昭和50年代半ば頃を境に、両作に限らず且つ時代劇・現代劇を問わす、あらゆるテレビドラマから浪花節(泣かせる)手法が消え失せた。それは、おのれがテレビドラマや最新流行歌に興味を失くした時期と奇妙に符合する。
知人が運営する某掲示板によると、日本人は【泣く】ことが好きな国民なのだとか。思いっきり泣いて詫びる、忘れる、水に流す。真偽のほどはともかく、人前で泣くのは「男の恥」と躾けられた私奴としては俄に信じ難いが、人知れず泣きたいときが無いわけではない。今やその対象が浪花節(泣かせる)調のドラマなのかもしれない。若い頃なら、何もドラマに求めなくとも日常生活のなかで泣きたいことがたくさんあった。
『大岡越前』初放送リスト
・第1部(全28回)・・・1970年(昭和45年)
・第2部(全28回)・・・1971年(昭和46年)
・第3部(全31回)・・・1972年(昭和47年)
・第4部(全25回)・・・1974年(昭和49年)
・第5部(全26回)・・・1978年(昭和53年)
・第6部(全32回)・・・1982年(昭和57年)
・第7部(全27回)・・・1983年(昭和58年)
・第8部(全26回)・・・1984年(昭和59年)
・第9部(全26回)・・・1985年(昭和60年)
・第10部(全27回)・・・1988年(昭和63年)
・第11部(全26回)・・・1990年(平成2年)
・第12部(全24回)・・・1991年(平成3年)
・第13部(全26回)・・・1992年(平成4年)
・第14部(全24回)・・・1996年(平成8年)
・第15部(全26回)・・・1998年(平成10年)
・最終回スペシャル・・・2006年(平成18年)
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