韓流ドラマに対する違和感を禁じえず、ことあるごとにこれを酷評してきた。しかし、よくよく思い起こしてみれば、無意識のうちにもつい国内ドラマと比べているから、そういう結論になってしまうのであって、異国(文化)のものを我国に当てはめようとすること自体がそもそもの間違いである。現に、欧米やタイなどのドラマに対して同種の違和感を抱くことなどまずない。端から異国ドラマとの認識に立ち、国内ドラマと区別して視るからに他ならない。
そうなのですよ、韓流も一つの異国ドラマと捉えるなら、また違った観方ができる。欧米にしろタイにしろ中台にしろ、それぞれ異なる文化を形成していればこそ、国内ドラマとの相異点が明らかなのだから、韓流とて同じ理窟が成り立つはず。
・『君だけ I Love You』(タイ;2013)・・・BS-TBS
・『スパイ大作戦(日本語吹替版)』(米国:1967)・・・BSジャパン
・『孔子(日本語吹替版)』(中国;2011)・・・CSチャンネルNECO
・『商道(サンド)』(韓国MBC;2001)・・・BS日テレ
・『嫁は崖っぷちアイドル』(韓国KBS;2015)・・・CSホームドラマチャンネル
上記は、現在録画中の海外(すなはち「異国」)ドラマだが、制作年代の違いはあるものの、それぞれの「お国柄(すなはち「当該国の文化」)」が反映していて興味深い。これらを国内ドラマと比べてみた場合、全てが異質であることに相違ないけれど、無理矢理類似のものを捜せばやはり韓流ドラマになってしまう。18世紀李氏朝鮮時代劇『商道』では倭国(=江戸時代の日本)の名が挙がるし、現代劇『嫁は-』でも典型的な家庭料理に김밥(きむぱぶ=巻寿司)が登場する。
因みに朝鮮半島は、20世紀前半が日本に併合されていたため、チャイナ文化圏ながら日本語起源の単語も結構ある。例えば「約束」。時代劇・現代劇を問わず韓流ドラマに頻出する語だが、原語(韓国語)では「やくそぐ(yagsog)」と発音されている。仮に北京語なら「ゆぇしゅ(YueShu)」と発するから明らかに日本語起源と思われる。ほかに「時間」もそう。北京語で「すぃーちぇん」と読むが、韓国語では「시간(しかん)」と日本語風に発音する。韓国旅行の際、リムジンバスに漢字で「仁川空港(인천공항;いんちょんこんはん)」「金海空港(김해공항;きむへこんはん)」と行き先表示されていた。音こそ日本語読みと異なれど、北京語の「空港」は「機場」と綴るから、これも日本語起源の韓国語だろう。釜山・金海空港の漢字「海」を韓国語では「해(hae)」と発音する。これは上海語(呉音)の読みと同じである。
*ご参考*
地名「上海」の北京語・日本語・韓国語読みは共通して「しゃんはい」。
ところが地元(つまり上海語=呉音)では、「さんへ」と読ませるのが正解。
そのものズバリ『約束』の曲名を持つ韓流ドラマOSTがある。『美しき日々』(SBS;2001年)がそれ。題名とは裏腹に、芸能界を舞台として恋人も地位も奪い合う醜い人間関係が凄まじい。然りとて、挿入歌はわりかし気に入っている。
아름다운 날들(美しき日々)OST
1 그때까지 안녕(それまでさようなら)-Zero
2 약속(約束)-Zero
3 HEAVEN-イ・ジョンヒョン
4 약속(約束)-류시원(リュ・シウォン;柳時元)
5 그대 뒤에서(君の後で)-Zero
6 FOR YOU-Zero
7 그때까지 안녕(それまでさようなら)--류시원(リュ・シウォン)
8 언제나 오늘처럼(いつも今日のように)
9 꿈(夢)-イ・ジョンヒョン
10 MISSING YOU-류시원(リュ・シウォン)
11 PLEASE
12 상처(傷)-류시원(リュ・シウォン)
13 너만을 위해(君だけのために)
14 부탁(お願い)-Zero
02.約束(Zero版)
04.約束(リュ・シウォン版)
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