毎度旧いドラマ(それも昭和40年代まで)の話題ばかり。偶に近時作を採り上げたかと思うと酷評しかしない。まぁ、客観性など一顧だにせぬ個人的趣味からの100%主観による論評とご容赦願いたい。私奴好みの、多少なりとも観賞に堪えうる新作ドラマなど皆無に等しいのですから。
と書いたところで、BS241スカパー!にて再放送中のホイチョイドラマ『恋の時価総額』(スカパー!オリジナル;2015年)を録画して視てみた。BS241チャンネルは、【“オマケ”チャンネル】を謳うだけあって、スカパー!全チャンネルから選りすぐった番組の【サワリ】を契約者にタダで提供している。無料とは言え、あくまで“オマケ”チャンネルだから普段はスルーしているが、偶々《ホイチョイ》の文字に釣られて録画してしまった。
《ホイチョイ》って何ぞや? その語感から【香港の有名映画・ドラマ制作会社】とばかりに勝手な想像をめぐらせていたら、まったく違っていた。調べてみると[ホイチョイ・プロダクションズ]のことらしい。昭和59年からある日本の芸能プロダクションとは知らなかった。尤も、芸能プロで知ってるのは、[渡辺プロ][ホリプロ]ぐらいしかないゆゑ、無理からぬことではある。
基本的には恋愛喜劇なのだが、現代社会を象徴するようにリアルタイムな株式相場解説が挿入されたりして、作風自体がゲーム感覚である。しかも、登場人物はほぼ4人(田中圭、木南晴夏、中村静香、波岡一喜)に限られ、舞台も某マンションの一室(一部に室外通路も出てくるが)のみという、制作費をケチった極めてお手軽な作品に仕上がっている。“コメディ”でなく敢えて“喜劇”と書いたのは、何もかもが攻撃的なハリウッド(西洋)流爆笑コメディとは一線を画し、日本古来の思わず微笑んでしまう落語風の奥ゆかしくも上品な笑いを提供してくれるからだ。落語をはじめとする伝統的お笑い芸能は、話術を以て笑いを誘うところに妙味があったのだが、昨今の日本芸能界自体が西洋流爆笑コメディにすっかり被れてしまったのがまことに残念である。
珍しく褒めたこのドラマでさえ、公開劇ではないから観客であるはずもない制作スタッフの笑い声が随所に入っている。如何にオマケ的お手軽ドラマとは言え、見たくもない舞台裏を覗いてしまったようで、不快なこと夥しい。テレビ創成期の生放送ドラマで、うっかり制作スタッフの姿が写ってしまったのとはわけが違う。恥ずかし気もなく、意図的に舞台裏を【見せたがる】厚顔不遜な了簡が気に食わない。
『恋の時価総額』第1話
スカパー!は基本的に衛星を介した有料放送だが、地上波局制作番組の再放送のみならず、上記の如きオリジナルドラマも幾つか制作している。これらは、スポンサーからの広告収入で成り立つ地上波民放と異なり、スポンサーの意向など気にする必要がない分、ある程度自由に番組制作できる利点がある。謳い文句は【地上波では見られないドラマ】。
・PANIC IN(2015年)
・螻蛄(2016年)
・破門(2015年)
・鬼平外伝(2011年~)-時代劇専門チャンネルとの共同制作
etc.
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