BS放送TwellVで、渥美清の『泣いてたまるか』(TBS:昭和41年~昭和43年)が再放送されている。DVD化もされていて、リアルタイムで視た懐かしさからレンタルDVDを借りてみた。渥美清だけでなく、青島幸男、中村賀津雄主演版も交替で放送されたはずだが、そのDVDはない。また渥美清主演版は全54回分なのに、そのうち『先生シリーズ』(全14回)だけが何故かDVD化されていない。
なおこの『先生シリーズ』、同時期・同局で似た『木下恵介アワー・記念樹』(昭和41年~昭和42年)が放送されていたため、これと錯誤して憶えている可能性もある。
*ご参考*
『記念樹』(第40話;報恩記)
この番組もリアルタイムでよく視ていた。既に大学生に成り上がっていたものの、おのれの小学生時分を想起させてくれる好番組だった。この放送分は、今なお結構記憶に残っている。とにかく、出演陣が凄い。馬淵晴子、高杉早苗、渥美清、春川ますみ、佐々木功ら中心人物は当然としても、山本豊三、山口崇、寺田農、柴田侊彦、有川博、吉田日出子ら錚々たるメンバーが、完全な端役で「顔見世」しているのだから贅沢窮まりない。
本題に話を戻そう。まだ半分ほどしか視ていないが、懐かしいというより、何もかもが素晴らしい。映像技術だけ観れば、現代とは比べようもなく幼稚であることは否めない。しかし、『記念樹』もそうだが、出演者を含むドラマ制作スタッフ全員の作品に対する“愛情”が感じられ、一度見終わってなお、また最初から見直してみたくなるほど、視る者を惹き付ける不思議な魅力に溢れている。
熟々思うに、「(愚かな)視聴者を教育啓蒙しよう」といった、あたかも視聴者の上に立つが如き、思い上がった邪念が制作陣にないからであろう。少なくとも自分は、劇中人物(主人公とは限らない)にでもなったかのように、安心して劇中に身を委ねることが出来る。つまり、老若男女を問わず、視聴者と制作者が「同じ立ち位置」にあるということ。
ひょっとして「時代」が関係しているのかも知れない。テレビが一家に一台しかなかった当時は、家族ぐるみで愉しめる「ホームドラマ(ファミリードラマ)」の全盛期であった。これが奏功してか、特定年齢層にターゲットが絞られてない分、当時は若者の立場で視ていたが、リタイアした今日の年齢になっても、十分観賞に堪えうる。
もう一つ、“懐かしい顔”と当時の姿のまま「再会」出来ること。現在も活躍している人なら、その若かりし頃の様子を視ることが可能。なにぶんにも半世紀近く前の映像ゆゑ、物故された方も多い。
個人的には、伊志井寛、桑山正一、高原駿雄、永井智雄、佐藤英夫、大泉滉、渡辺文雄、天知茂、矢野宣、小山田宗徳、入川保則、久米明、江幡高志、世志凡太、睦五郎、ミッキー安川、天草四郎、蔵忠芳(アッちゃん)、梅津栄、長谷川明男、中野誠也、新克利、砂塚秀夫、戸浦六宏、橋本功、大塚国夫、井川比佐志、ジェリー藤尾、坊屋三郎、十朱久雄、高城淳一、高品格、雷門ケン坊、イーデス・ハンソン、四方晴美(チャコちゃん)、曽我町子、京塚昌子、清川虹子、津島恵子、広瀬みさ、原泉、柳川慶子、弘田三枝子、笠置シヅ子、若水ヤエ子、川上夏代、賀原夏子、梓英子、佐藤オリエ、丹下キヨ子、関千恵子、山東昭子、浦辺粂子、佐々木愛、岸久美子、久里千春、沢田雅美、吉村実子、文野朋子、日高澄子、坪内ミキ子など。
ネット上に部分的ながら映像がアップされているので、視てみよう。
☆ 『泣いてたまるか』主題歌
by 渥美清
歌詞の一番は、ドラマで散々聴かされているので、今でも正確に思い出せる。三番も聴き憶えはあるが、二番に至ってはまったく記憶になく、今回初めて知った。
昭和42年1月8日放送『ある結婚』(渥美清主演版通算第20回)
昭和42年年12月10日放送『ああ軍歌』(第46回)
昭和42年12月24日放送『雪の降る街に』(第47回)
昭和43年1月7日放送『吹けよ春風』(第48回)
“旧き佳き時代の日本”って感じですなぁ。
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