月日の経つのは早いもので、明28日午前8時半には逗留先を出て帰国の途につく。したがって、チェンマイ暮らしも実質本日限りとなった。結局今回も、二泊三日の小旅行を除けば、「喰っちゃ寝」のぐうたらな日々であった。
取り立てて書くこともないので、独断と偏見により気に入っているタイ歌謡・ポップスを五曲選んでみよう。独り者の僻みかもしれないが、自分は“惚れた腫れた”だけの恋歌を好まない。年齢を重ねると共に、生活の苦渋が滲み出たような生活歌・労働歌或いは望郷歌といった類を好むようになってしまった。要するに、現代日本では、とっくの昔に忘却せられたような曲ですね。しかしタイには、こうした歌が今も一定数あるのですよ。
1.สัญญากับใจ(約束と心)
by รัชนก ศรีโลพันธุ์(ラチャノク・シーローパン)
貧しい家計を救うため、蔑まれながらも都会で真面目に働き、やがて認められて役職に就くまでの映像がよい。歌うラチャノクさんの実生活をMVにしたような曲である。
2.เพื่อน(友達)
by แกรนด์เอ็กซ์(GrandEX)
タイ映画『フレンドシップ君と僕』(2008年)のエンドロールに流れる事実上の主題歌。もともと'80年代の曲だが、高校時分(つまり'80年代)の“友情(Friendship)”を描いた映画だけに、映画と曲がぴったり調和して、なかなかの出来栄えだった。歌詞が解るともっといいのだが、タイ語不案内なのがもどかしい。
*対訳歌詞*
เธอ กับ ฉัน 君と僕は
เมื่อวันวาน เป็นเช่นเพื่อน 昨日まで友達みたいだった
กลับ ลาง เลือน その記憶が薄れ行く
คำว่าเพื่อน จางหายไป 【友達】という言葉も消え失せて行く
เหตุได้ชิด เคียงใกล้ 近くに並んで傍に居るのは
จึงมีรัก ฝังใจ 愛に根ざしているから
ไม่ผิดใช่ไหม ね、間違ってないでしょう?
といった内容みたい。以下、省略。
3.กำลังใจ(励まし)
by โฮป(Hope)
フォークソング調の曲。一時期世界を席巻した反戦歌のような政治色がなく、日本的な思いやりの精神を想起させる内容が好ましい。
4.ไก่จ๋า(ニワトリちゃん)
by สายัณห์ สัญญา(サヤーン・サンヤー)
ルークトゥンの原型である農業歌的色彩を留めた田舎風な曲調が心地よい。“惚れた腫れた”の歌も結構だが、本来のルークトゥンとはこういう曲想だったはず。
5.เปลี่ยนรักเปลี่ยนรถ(車を替えるように恋も替える)
by ยอดรัก สลักใจ(ヨードラック・サラクチャイ)
生真面目な日本人的感覚からすれば、曲想自体が不真面目な気もするが、そこがまた《ไม่เป็นไร(マイペンライ;気にしない)》なタイ人らしいところ。愉しけりゃそれでいいじゃん、ってなわけ。これが敬虔な仏教徒の國ですかね。
以上、おしまひ。
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