毎月一回ぐらい美味い物を喰おうと、スーパーで蒲焼き鰻(レトルト;宮崎産)を買っておいた。なんと税込¥1,625-もしたのですよ。中国産なら約三分の一の値段で済むが、あたしゃ国粋主義者でしてね。一見してタレはあるようだったが、まさか山椒まで付いてはいまい。
そう早合点して山椒を買うハメになった。ところが、意外にもそんじょそこらにあるものではなさそう。現に件のスーパーでは、七味・わさび・胡椒等の香辛料は種類豊富に並んでいるが、なぜか山椒だけが見当たらない。ネットで調べると、お馴染みの山椒粉は、飛騨の山中で作られているらしい。
製造元のホームページによると、最寄りの販売所は新宿小田急百貨店、との情報を得た。さっそく昼頃、自転車をゆるゆると転がして買い求めてきた(税込¥571-)。直販よりやや高値だが、運送賃でも含まれているのだろうか。
しか~し、である。わざわざ買ってきたのに、食す前に改めて鰻さんのパッケージを確認したところ、内容量欄に【山椒0.1g】とあるではないか。とんだくたびれ儲けであった。山椒の粉を使うのは、せいぜい鰻の蒲焼きか麻婆豆腐ぐらい。まぁ、数年は保つだろうな。でも、賞味期限が14.7.31になってる。
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さて、『懐かしのポピュラー音楽』シリーズは、ひとまずお休み。山椒粉とは何の関係もないが、前稿でチラッと書いた誼で『浜辺の歌』を採り上げよう。まず、絶賛した中原美紗緒盤をご覧(お聴き)ください。
☆ 中原美紗緒盤
ね、なかなかのものでしょう?
この曲は童謡・唱歌に分類されることが多いが、もとをただせば純粋なリート(歌曲)である。つまり、ピアノ伴奏付独唱曲ということになる。ただし知らなかったが、作曲者(成田為三)自身の編曲になる女声合唱版と器楽版のピアノ変奏曲があるみたい。
広く人口に膾炙した曲だから、国内外を問わず編曲ものを含めて数多の録音が存在する。それはそれで大変結構なことだが、多くは思い入れたっぷりに“歌い過ぎ”るか、あるいは妙に聴衆を意識しすぎ、“聴かせよう”として失敗している。その点、中原さんの場合、多少の歌い崩しはあるにせよ、淡々と音符を辿ってるだけのように想われて好感が持てる。ポピュラー畑でもう一つの成功例は、倍賞千恵子盤。
☆ 倍賞千恵子盤
寂寥感漂う曲調に逆らうかのような賑やかな映像がアレだが、妙な歌い崩しもなく、クラシック風に歌っているのがよい。ただ、クラシック風といっても、オペラティックな歌い方では逆に曲想をぶち壊してしまう。
なぜか中国でも好んで歌われ、『海濱之歌』との曲名でよく知られているらしい。
☆ 海濱之歌 by 蘇鳳娟
何と北京語歌謡曲にまで編曲(改作?)されてるようですよ。
☆ 海恋 by 鄧麗君(テレサ・テン)
ここまでくるとまるで別曲を聴かされるみたいで、メロディだけが一人歩きしてしまった感じですね。
ピアノ伴奏付独唱曲という原点に戻ってみよう。つまり、歌と伴奏ピアノがセットで作曲されているということ。だから、個人的にはピアノ伴奏版を好む。抒情歌として扱われる場合、管弦楽伴奏物が多いし、それはそれで別の味わいもあるのだが、歌が下手くそな自分は、歌よりむしろ伴奏に耳目が行ってしまう。とりわけ、さざ波を模したようなピアノの音が堪らない。これはなかなか管弦楽では表現し難いのではなかろうか。ハープで代用できなくもないが・・・。
☆ 浜辺の歌 伴奏パート(電子版)
根拠なき個人的な印象に過ぎないが、なんだか子守歌に近いと思う。だから、母親を想わせるような歌い方が求められるのかもしれない。
をはり。
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