自室北側にあるワチラウィット小中学校が朝から何やら騒々しい。秋の運動会でもやっているのだろうか。児童・生徒の黄色い声が轟き渡り、拡声器を通して先生方の実況中継(?)が聞こえる。鐘や太鼓の応援合戦に鼓笛隊演奏や民謡風伝統歌まで流していて、近所迷惑もいいとこ。しかしまぁ、自室に閉じこもって話し相手もいない状況では、人恋しさゆゑに騒音とは感じず、むしろそこはかとない親愛の情が湧いてくる。
さて、前稿でのお約束どおり、R-SiamとGMMのタイ大手レコード会社による今年度のヒット曲を幾つか聴いてみよう。選曲に迷うところだが、大抵の目玉曲は最初か最後のトラックに入っているのが通例。依って、最も安易な手段ながらこれを採用。
まずはR-Siamのほうから参りますよ。
☆ ตื๊ด by กระแต(クラテー)
なんぢゃこれは? 曲名の“ตื๊ด”はタイ日辞典を引いても載っていない。声調記号のない“ตืด”だと「サナダ虫」の意味らしいが、同じ発音の英語に“toot(バカ騒ぎ)”があり、おそらくこの英単語をタイ文字化しただけなのだろう。歌うクラテーさんは元キックボクサー。うっかり近づくとボコボコにされそう。
☆ ผู้ชายห้ามเข้า(男子禁制)
by ใบเตย(バイトゥイ)/กระแต(クラテー)/ลูกตาล(ルークターン)/อลิซ(アリス)/อุ้ม(ウム)/เพียว เพียว(ピョウピョウ)
う~む、曲想自体は悪くないと思うが、期待する異国情緒が感じられない。つまり、タイらしさと言えばタイ語で歌われるところぐらい。限りなくアメリカナイズされた曲調はどうも趣味に合わない。
続いては、タイ最大手のレコード会社GMMに行きます。
☆ ขอใจแลกเบอร์โทร(電話番号交換して)
by หญิงลี ศรีจุมพล(インリー・スリチュムポン)
これですよ、これ。タイらしさを醸し出す陽気で軽快な舞曲調リズム。好きですねえ、こういう曲。歌に浮かれてつい踊りたくなる。尤も、身体が自然に動き出すと言うだけで、とても《踊り》とは呼べないが・・・。
☆ ไปถอนคำสาบาน(誓言撤回)
by ศร สินชัย(ソン・シンチャイ)/ดอกอ้อ(ドクォー)/ก้านตอง(カーントン)
タイのルークトゥンには、こうした失恋歌が結構多いですね。それも甘言に騙されるのは大抵が女のほうで、その逆(男が騙される)はあまり耳にしないように思う。つまり、タイの浮気は男の特権(?)らしい。その代わり、浮気しようものなら大変なことになる。発覚して「山の神」に局部を斬られる阿部定紛いの猟奇事件が後を絶たないのだとか。
以上の四曲から二社間戦略の違いを推理してみると、R-Siamが流行に敏感な都会派現代っ子(若者)向けとするなら、GMMのほうは老若男女や生活環境を問わず、一般国民受けを狙った路線のようですね。
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