中国大陸へは、'84年~'88年の間に5回ほど渡航した。台湾を訪れるうちに、“本場”を観てみたくなったのだ。学生だった頃の中国とは国交がなく、神秘のベールに包まれた“謎の國”であった。断片的な情報だけで想像するしかないから、空想ばかりが膨らんでゆく。終には、あたかも《理想郷》であるかのように錯覚してしまった。
実際に観るのと聞く(伝聞)とでは斯くも違うものか。あらぬ期待を抱いてしまった分、失望感が弥増した。《日中友好》の時期だったから、歓待されはした。しかし、中国国際旅行社が定めた公式コースを一歩離れてみると、日本の国柄とはまるで異なる“虚構の國”であることがよくわかった。
とにかく廉かったから、支那(現代中国ではなく)風味の土産物を買い漁った。音楽磁帯(カセットテープ)もしこたま買い込んだ。VHSテープも一つある。上海虹橋空港か広州白雲空港だったか忘れたが、空港免税店で購入したもの。帰国して視ようとしたら、PAL方式のため視聴能わず。ダビング屋さんに頼んでNTSC方式に変換してもらった曰く付きのビデオである。
視ると『春天的歌声』(副題;部分作曲家音楽会)と題するコンサートの実況録画テープだった。中国国内向けなのか、中文歌詞字幕が一部に付くのみで、曲名等のテロップは流れない。ステージ衣裳を着飾った女性アナウンサー(CCTV)の演唱者・曲目紹介を聴き取るしかない。どうやら第一部は王立平(わん・りーぴん)の作曲集となっている。
そのうち、陳力(ちぇん・りー)が歌う『嘆香菱』と『紫菱洲歌』が、伝統楽器を用いて、自分の想い描く支那情緒纏綿たる歌で気に入っている。あとでわかったことだが、TVドラマ『紅楼夢』の挿入歌だとか。もちろん人並みに『紅楼夢』の書物名ぐらいは知っているが、内容については未だにまったく何も知らない。バカである。
虾米音楽サイトにサントラ盤があったので、この際、全曲聴いてみましょう。音源が音楽磁帯(カセットテープ)とあって、聞き苦しいのは我慢するとして・・・。
01.序曲 - 中国電影楽団
02.プロローグ - 陳力
03.枉凝眉 - 陳力
04.葬花吟 - 陳力
05.秋窗風雨夕 - 陳力
06.紫菱洲歌 - 陳力
07.晴雯歌 - 陳力、女声合唱
08.嘆香菱 - 陳力
09.紅豆曲 - 王浩実、陳力
10.題帕三絶 - 陳力
11.分骨肉 - 陳力
12.聰明累 - 王浩実
13.好了歌 - 王立平
14.エピローグ - 中国電影楽団
このTVドラマ(全36集)は、日本語字幕付DVDもあると聞き及ぶが、全篇(各集約30分)をYouTubeで視ることが出来る。
☆ CCTV電視劇『紅楼夢』全集 - '87年版
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