YouTubeのマイチャンネルを編集していて、台湾旅行に熱を上げていた頃が急に甦ってきた。大きな声で言えないけれど、労組仲間とよからぬ目的で初訪台したのが昭和55年(1980)12月、中華民國暦六十九年のことでした。台北はともかく地方へ行けば、自分の子供時分に目にした光景が彼方此方に転がっていて懐かしくなり、完全に嵌ってしまった。爾来、毎年数回は渡台するものだから、莫大なる会社の顰蹙を買ったが、全く意に介さず。
それで以て、日本に較べて廉いこともあって、訪台の度に大量の音樂カセットテープ(後にCD)やミュージックビデオ(後にLD)を買って帰ることを日課としていた。台湾語の『雨夜花(うやほえ)』もいいが、北京語の『梅花(めいふぁ)』がとりわけ好きですね。現地のカラオケ店で歌ったところ、「お上手お上手」とすっかり乗せられ、日本へ帰ってからもさんざん歌いまくったものです。
☆ 梅花 - テレサテン(鄧麗君) 1984年
ライブにも拘わらず感情の昂ぶりが比較的少ない歌い方の映像だが、所有している1980年香港公演ライブ盤は凄い。歌唱の途中で感窮まって泣き出してしまうのが録音されている。
実はこの歌、テレサさんのオリジナル曲ではない。
☆ “中華民國”の映画『梅花』より 1975年
日中国交正常化による日本との国交断絶をはじめ、台湾(中華民國)が国際的孤立を深めた時期に作られた時代背景があって、ありもしない台湾人民による抗日パルチザン活動を描く空前絶後の誇大妄想映画になっている。如何に“作り話”とはいえ、日本軍を悪し様に描かれてはさすがに不快なこと夥しい。中国(支那)人ならいざ知らず、あの時代の台湾人は、日本人(国籍)ではなかったか。二二八事件で“同胞・台湾人”を大虐殺した国民党が考えそうな、ウソ八百プロパガンダ映画ではある。
そして、この忌まわしい映画の主題歌が件の歌。歌うは台湾の“三人娘”、鳳飛飛(ふぉんふぇいふぇい)嬢、尤雅(ゆうや;日本ではなぜか通称“優雅”らしい)嬢、甄妮(つぇんに)嬢。翳りの濃い声質の鳳飛飛さんがこの歌に最も合うように思っていましたが、実際に聴いてみると必ずしもそうではないみたい。やっぱりテレサさんの歌ですね。
ところで、タイ人歌手が歌っている映像もありました。
☆ 梅花 - อรวี สัจจานนท์ (オラウィ・サッチャノン)
いちおう原語(北京語)で歌ってるようですが、かなり怪しげですね。タイ語の曲名を見るとเหมยฮวา(めいふぁ)となっていて、意訳でなく音訳のようです。
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