5月のタイ滞在中、今年のパイさんにはヒット曲がないみたいなことを書きました。ヒットかどうかわかりませんが、衛星放送局FAN-tvの番組を見ていて、次の新曲を発見!
☆ อยากจองที่ว่างข้างๆเธอ(彼女の隣りを確保したい) by ไผ่ พงศธร ☆
註)劇中の「文字対話」邦訳
ฉัน+เธอ=เรา(僕+君=僕たち)
จองแล้ว(予約済み)
ที่ว่างตรงนั้นจองได้หรึอเปล่า(そこの空席、予約できますか?)
ファン心理というわけでもないが、パイさんの職場恋愛シリーズは、どれをとっても素晴らしい。歌もいいが、何より演じられる芝居が気に入っている。
一般に映像付音楽(MV)だと、曲より映像の印象が強く残りがち。音楽そのものをじっくりと愉しみたいなら、CDを聴くのが一番。それでも、タイ語能力が地元幼稚園児以下の私奴にとっては、曲の持つ物語性を映像が代弁してくれるので有り難い。
余計なお世話ですけど、このシリーズに出てくる相手役の女優さんは、みんな容姿端麗でいらっしゃいますね。それはともかく、何で気に入ってるかというと、劇中で交わされる「文字対話」。
自分も訪泰初期の若かりし頃、よからぬ目的から日泰会話本を指さして、通じない意思を何とか伝えようとしたことがあります。ところが相手方は何と、《文字が読めない》お人でした。識字率ほぼ100%の日本と違い、当時のタイでは78%程度。今となってはもう笑い話ですが、その時は結構真剣でしたよ。
今日のように便利な世の中になってくると、携帯電話一つで何時でも相手におのれの意思を伝えることができる。にも拘わらず、そうした風潮に逆らうかのようなこのシリーズは、電話もままならなかった昔の暮らしを想い起こさせてくれます。だから、アナクロ人間の私には共感できるところが多々ある。
口が利けないわけじゃないパイさんが、言葉でなくおのれの気持を敢えて文字に託すのはなぜか。自分にも経験があるけど、面と向かっては言いにくいことってあるんですよね。恋文(ラブレター)なんか、その最たる例でしょう。言いにくいことは文字に託す。内気で口下手(との設定だと思う)なパイさんなら、必然の選択でしょう。
もう一つ。今回の職業はビル清掃員。パイさんは、仕事そっちのけで職場恋愛に勤しんでおられるようですが、相手役の「彼女」は、ひたすら掃除に洗濯に精出している。男は仕事に打ち込んでいるとき、女は家事に精出しているときが最も美しい、との偏見を持つ私には素敵な映像です。
どちらかといえば世間に蔑まれた職業でしょうが、そんなことは一切意に介してない様子。かといって愉しんでる風でもないが、淡々と業務をこなす姿はとても美しい。尤も、5分程度の短篇ドラマ(?)では、内心まで描く暇がないのも事実。
無関係な「韓流ドラマ」をここで引き合いに出すのも何だが、彼方は労働を苦役と考える国だから、おそらく「何で俺が清掃員をやらなくちゃならないのか」と文句を垂れ、世間を逆恨みする展開となろう。そしてパイさんの劇が、“信じられない光景”と映ずるのかもしれない。距離的には近い中・朝・韓より、むしろ遠い国タイのほうが、我国との文化的近似性があるように思う。
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