みなさま、こんばんは。
カンタータ第1番《輝く曙の明星のいと美しきかな》BWV1
バッハ作品総目録番号の劈頭を飾るカンタータです。
「受胎告知記念日用」(3月25日)に作曲された。
【 解 説 】
復活節を間近に控えた時期にやってくる、受胎告知の祝日。カンタータ演奏をはじめ、よろず派手なことの粛せられる四旬節の中でも、この日に限っては喜びの調べが高らかに奏でられる。
1725年の当日にライプツィヒの人々は、キリストをさし昇る明けの明星に喩えたバッハの明るい新作に接し、文字通り、目の覚めるような思いを味わったことだろう。
曲は、フィリップ・ニコライの爽やかな主顕節コラールを両端楽曲で引用する。大コラールは、一対のヴァイオリン独奏を加えてホルンを響かせた、輝かしくも牧歌的な音楽。2曲のアリアも踊るようなリズムを持ち、曲の曇りのない明るさを引き立てている。
第一曲(合唱)と第六曲(終結コラール)で朗々としたホルンがこだまします。ホルン好きには堪りませんね。それに、曲調が明るくてよい。とかく深刻で暗い内容になりがちな宗教曲の中にあって、こういう愉しく聴けるもののほうが好みに合います。
【 歌詞対訳 】
☆ 第一曲 合唱(四声部;ホルン、オーボエ・ダ・カッチャ、ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音)
輝く曙の明星のいと美わしきかな、
そは主の恩恵と真理に満つ。
エッサイの美しき根よ!
ヤコブの族より出でしダビデの子、
我が王にして我が花婿なる君、
君は我が心を奪い去りぬ。
慕わしく、懐かしく、
美わしくして優れ、偉大にして尊く、神の賜物に富み、
高く聳えて、いとも見目麗わし。
Wie schön leuchtet der Morgenstern
Voll Gnad und Wahrheit von dem Herrn,
Die süße Wurzel Jesse!
Du Sohn Davids aus Jakobs Stamm,
Mein König und mein Bräutigam,
Hast mir mein Herz besessen,
Lieblich, Freundlich,
Schön und herrlich, groß und ehrlich, reich von Gaben,
Hoch und sehr prächtig erhaben.
☆ 第六曲 コラール(四声部;全編成、ホルン)
我が心は喜びて、いかに楽しきかな。
我が宝なる君、アルパにしてオメガ、
始めにして終りにいませば。
彼は我をも、ついにパラダイスに
入らしめ、讃美の群に加え給わん。
ゆえに我双手を拍ちて歓呼す。
アーメン! アーメン!
来ませ、君、美わしき喜びの冠よ、はやひまどり給うな、
君をこそ、我はこがれ待つなれ。
Wie bin ich doch so herzlich froh,
Daß mein Schatz ist das A und O,
Der Anfang und das Ende.
Er wird mich doch zu seinem Preis
Aufnehmen in das Paradeis,
Des klopf ich in die Hände.
Amen! Amen!
komm, du schöne Freudenkrone, bleib nicht lange,
Deiner wart ich mit Verlangen.
この曲も、昭和二七年モノラル録音(フリッツ・レーマン指揮ベルリン・フィル)と昭和四三年ステレオ録音(リヒター指揮)の二枚所蔵。甲乙付け難い演奏ですが、モノラル盤の遅いテンポのほうがホルンの柔らかい響きを満喫できます。但し、独唱歌手はほとんど無名。
ありがとうございました。
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