《 第48話 》 「仮面は裁く」
【 あらすじ 】 田坂と祝の耳に届く月光の歌。祝は様子を見るため表へ出て行き、部屋に残された田坂と五郎八の前に月光仮面が現われる。月光仮面は田坂がどくろ仮面の一味、あるいはどくろ仮面その人であると指摘し、自らの罪を認め、すべてを告白するようにと説得。
祝事務所。田坂に対する月光仮面のお説教。
月光 「田坂さん、貴男にお知らせしておくことがある。五郎八君も、よ~く聴き給え。」
五郎八 「はいっ。」
月光 「今日、防衛庁の金庫からジョー発爆弾をお預かりしたのは、確かにこの私だ。」
田坂 「みろ、お前が犯人だ。」
月光 「はは、そう喚き給うな。それよりも、君の正体を白状したらどうかね。お前がどくろ仮面の一味だということは、とっくの昔にわかっていたのだ。」
田坂 「はっはっは。君の目はどっちを向いているんだ。仮にも僕はジョー発爆弾管理委員の一人だ。柳木博士とも長い交際をしているし、ここの祝探偵とも顔馴染みの間柄だ。それをどくろ仮面の一味だって? はっはっはっはっは。」
月光 「無意味な笑いはやめ給え。君の空虚な笑い声は、すでに敗北を物語っている。」
田坂 「馬鹿なことをいうな。何のための敗北だ。馬鹿な・・・。」
月光 「第一、君はアダラ・カーンと組んで偽の宝石事件をでっち上げ、祝十郎をインドへ送った。」
田坂 「それは、死んだアダラ・カーンに僕が騙されていたんだ。」
月光 「嘘を言うな。騙されていたのはむしろアダラ・カーンのほうだ。血も涙もないどくろ仮面の一味に入ったがため、彼は尊い自分の命を奪われるハメに落ち込んだ。その糸を引くどくろ仮面とは・・・。」
田坂 「俺じゃない。」
月光 「ふふふ。俺か。その声の響きは何処かで聞いたようだな。田坂君、いい加減にその仮面を剥ぎ取って、素顔を見せたらどうかね。」
五郎八 「えっ? じゃ、田坂さんがどくろ仮面。」
月光 「まだシラを切るつもりかね。」
田坂 「知らんもんは知らん。僕はむしろどくろ仮面に狙われて怪我までしてるじゃないか。それを君(五郎八)も知ってるはずだ。」
五郎八 「そ、そりゃ知ってますが、こりゃいったいどうなってるんですか?」
月光 「どうもなってはおらん。田坂君は、あくまでも自分を正当化しようとしているだけだ。だが、もうこれ以上はしきれないはずだ。どうだね田坂君。君もひとかどの悪党なら悪党らしく、ここらで日本人としての自覚に戻ったらどうだ。
田坂君、君は何処の国の人間なのだ。何処の国に生まれ、何処の国で育ったのだ。考えてもみ給え。今や世界は正義も邪もなく、ただ武力と金力の強い国が、自分たちの利益のみに動き回っている。弱い者、貧しい国の人々は、好むと好まざるに拘わらず、彼らの犠牲にされつつあるのだ。
柳木博士は、そうした争いの果てに起こるかもしれぬ戦争を防止しようとして、HOジョー発爆弾を研究なされた。それは、博士個人いや日本一国のためではない、全人類の平和と幸福を祈念するまごころのあらわれなのだ。しかるに君たちは、そのまごころを踏みにじり、国際スパイ団の手先となって、日本国外に持ち去ろうとしている。つまりは、君たち一味は、売国の輩なのだ。
田坂さん。今からでも遅くはない。君がもしどくろ仮面でないとしたら、誰がいったいどくろ仮面なのか、その指令系統を教えてくれないか。頼む。」
田坂 「僕じゃない、僕じゃない。」
何だかむず痒くなってくる月光仮面の台詞ですが、そっくり現代社会にも当てはまりそうです。それに、生命の尊さとか自由とか恒久平和的な戦後の価値観もみられますが、「日本人らしく」という言葉に代表されるように、戦前からの伝統的価値基準に則ったものが基本にありはしますまいか。
ありがとうございました。
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前とメールアドレスは必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント