《 第30話 》 「複雑怪奇である」
【 あらすじ 】 松田警部は柳木博士にとみの素性を尋ねに来るが、そこへ松田の妻が自動車事故に遭ったという電話が入る。自宅へ向かう松田の前に月光仮面が現われ、事故がどくろ一味の仕業であると話し、病院へと送り届ける。月光仮面をどくろ一味の車が襲う。
柳木博士邸。松田警部と柳木博士の話し中。
あや子 「松田さん、大変です。今お宅からお電話で、奥様が自動車事故でお怪我をなすったそうです。」
松田 「家内が?」
博士 「電話の聞き違いじゃないのか。」
あや子 「いいえ、奥様の妹さんとおっしゃる方からはっきり。」
博士 「うん。(松田に)じゃあ、直ぐ行ってらっしゃい。」
松田 「はっ。しかし、これはひょっとすると、どくろ仮面の嫌がらせかも・・・。」
あや子 「でも、いちおうはいらしてみたほうが・・・。」
松田 「病院の名前は言ってませんでしたか?」
あや子 「何ですかとてもお急ぎになって、直ぐお宅にお帰りになるようおっしゃってお切りになりましたけど・・・。」
松田 「そうですか。じゃ、さっそく。失礼。」と部屋を出る。
あや子 「お気の毒だわ。もし、万一のことがあったら・・・。」
博士 「困ったことだ。お父さんの研究を巡って、次々と不幸が起こる。人類の不幸を防止するつもりのこの私が、自分の身辺の人の幸福すら守ってやれないのだ。」
あや子 「お父様。あんまりお考えにならないほうがいいですわ。今となったら、飽くまでも悪と戦うしかないじゃありませんか。」
博士 「うむ。それはそうだが・・・。しかし・・・。」
あや子 「それに、祝さんだってそのうちにはお帰りになるでしょうし、元気をお出しになってね、お父様。」
博士の苛立ち、苦悩がよくわかります。世の中というのは、自分の思いどおり(予想・計画通り)には事が運ばないものです。だから、失敗もするし、時として災厄にも遭う。こうしたことは、現代人より、むしろ先人たちのほうがよくわかっていたのではないか、という気がしています。
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