《 第24話 》 「敵は動き出した。」
【 あらすじ 】 五郎八と節子はカボ子の元へ急ぐ。柳木邸では警備の警官が怪しい男を発見し、松田警部と追跡。邸内に残った山本は家に火が点けられたのを発見、幸い大事に至らず、松田たちは姿を消したとみを犯人と断定する。そこへどくろ一味の田坂が…。
五郎八と節子がスクーターで祝事務所へ向かう道すがら。
五郎八 スクーターを止めて 「う~ん、ちょっと降りてくれよ。ここで転んだら一大事だからね。」
節子 クスッと笑って 「自信がないのね。」
五郎八 「いやあ、あるけどさあ。節子さんに怪我でもさせたら申しわけないからだよ。」
節子 「あらあら。」と笑いながら降りる。
五郎八 「君子危うきに近寄らず、だよ。」
節子 「ふふふ。」
五郎八 「よいしょっ、と。さ、早く乗った乗った。」
何気ない場面ですが、こうした一見つまらない会話のなかにも幸福感がいっぱい詰まっている気がします。
それにしても、どの辺りなのか皆目見当もつきませんが、林の中で民家はまばら。道はどこまでも砂利道。ラビット・スクーターは、二人を乗せ、土煙をたてながら頼りなく走ります。
柳木博士邸に火を放って逃げたとみとどくろ仮面一味の会話。
タイガー 「失敗したんじゃないのか。」
とみ 「うまくやったつもりです。」
どくろ 「お前の逃げ出すのは、未だ早かったのだ。なぜ指令を待たなかった、ん?」
とみ 「まごまごしていると捕まりそうだったんです。」
タイガー 「火の手はどうだ?」
手下 「全然燃えてませんよ。」
とみ 「申しわけありません。」
どくろ 「う~む、拙いことをしたなあ。これでは月光仮面も出て来んじゃろ。両面作戦の失敗だ。」
田坂 「いちおう、僕が柳木の様子を探ってきましょう。」
どくろ 「ん、松田も山本も相当な目利きだ、見破られんように気をつけてくれ。」
これが、悪党の言葉遣いですかね。普通の会社の営業会議と見紛うばかり。しかし、直前の五郎八・節子の明るい会話と比べたとき、一味のそれは何と暗いことか。おお、やだやだ、どくろ仮面の手下になんか、絶対になるものか。というか、入団試験で不合格は必定。あたき、悪いこと出来ないから。
ところで、おとみさん、人間のすることに失敗はつきもの。気を落とさずに頑張ってください。と、つい同情したくもなります。悪人道は、かほど左様に過酷です。責任追及あれど、誰も庇ってくれません。義理ばかりが重たい非情の世界。個々は、みんな孤独なんですよ。
♫ ~ 義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい・・・ ~ ♬
って、健さんも歌ってらっしゃるでしょ。
勢い「人の情け」が恋し懐かし。だから、彼らは人情に頗る弱いのであります。このことが、先に進むにつれてわかってきます。
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