《 第18話 》 「神の如く現る」
【 あらすじ 】 柳木博士と田坂の車を護衛する警察のサイドカーがどくろ一味の銃撃を受ける。偽警官が車を止めさせるとどくろ一味が車を取り囲み、博士の鞄を奪い取る。しかし、鞄の中に爆弾はなかった。悔しがるどくろ仮面の前に現われる月光仮面!
防衛庁へ向かう博士と田坂が乗った車の中。
ラヂオ 『國民の皆様、國民の皆様。祝探偵事務所の繁さんと木の実さんは、今以て行方不明であります。なお、誘拐した犯人は、先に赤星博士を拉致したどくろ仮面の一派であることに間違いありません。すでにそのアヂトは判明しているので、この事件の解決は間近いものと思われます。では、ニュースを終わります。』
田坂 「いよいよ、どくろの一派も追い詰められましたね。」
博士 「いや、油断はできんよ。何しろ祖国愛とか人類愛という精神を、まったく持っておらん連中だからね。」
田坂 「そうですなあ。」
田坂の合図で、松田が差し向けた護衛のサイドカーが襲われ、どくろ一味の偽サイドカーとすり替わる。
博士 「何か妙な音が・・・。」と不安げに後ろを振り返る。
田坂 「いやあ、気のせいでしょう。ちゃんと護衛がついていますから安心ですよ。」
偽サイドカーが追い越し、先導して谷中墓地で止まる。
博士 不安そうに 「どうしたんだ。」
田坂 車を降り偽警官に向かって 「お前たちは何だ。どうしてこんなところへ車を止めたんだ。おい、君たちは警察官じゃないのか。」
そこへどくろ仮面が手下を連れて登場。
博士 車中から目撃 「おわあっ。」と震え上がる。
田坂 「どくろ仮面・・・・。」と博士を庇うように車に張り付く。
どくろ 「はっはっはっは。田坂君、おとなしくし給え。博士、その鞄をこっちへいただきましょう。」
田坂 「何をする。お前たちは、我々の・・・。」
どくろ 「ええ~い、うるさいっ!」と拳銃の背で田坂を気絶させた後、博士の鞄を強引に奪い 「さあ、この老いぼれを防衛庁に送り届けてやれ。」
博士 「それはいかん。待ってくれ。」の叫び空しく、車は脱兎の如く防衛庁へ。
どくろ 「ぬっふっふっふ。案外簡単だったな。」
ところがところが、鞄を開けてびっくり。中身は、
ジョー発爆弾三個、正にお預り申す。 月光仮面
どくろ 「うぬ~う、しまった。おのれ月光仮面め~っ。」
そして、月光仮面の高笑いが聞こえてくる。
博士の「何か妙な音が・・・。」には、思わず吹き出してしまいました。いや、決して台詞が可笑しかったのではなく、作り話とはいえ、いかにも手の込んだどくろ仮面一味の偽装工作に、ここまでやるか、と感心しきったのですよ。それに、他愛もない子供向けTV映画から、何かを学び取ろうとして大真面目になっている自分を客観的に見つめると、思わず笑いたくなったのであります。
今でこそ繰り返し視聴して「筋書き」を知ってしまっていますが、仮に“生放送”で視ていたら、視聴者の誰もが一連の偽装工作にまんまと騙されていたでしょうね。もはや半世紀も前のことで、初回放映時、視たようでもあるし視てない気もして記憶がおぼろです。まあ、子供にとって「筋書き」なんかどうでもよく、ただ月光仮面がどくろ仮面をやっつけてくたら痛快愉快であった。これが偽らざる「真相」です。
さて、どくろ仮面の博士と田坂に対する言葉遣いに注目しましょう。あくまで「恭謙な態度」ではありませんか。どくろ自身や我々は、田坂が一味であることを知っているわけですが、それ以外の人、就中博士は夢にも思っていません。後々のことを考えると、ここで田坂がどくろ一味、とバレては拙いということでしょう。
もう一点、どくろ仮面の正体は赤星博士でした。表向きは科学者として生きてきています。だから、表の日常習慣が身についていたとしても不思議ではありません。自分がその立場だったら、と考えてみれば直ぐにわかることですが、未経験となれば想像すら難く、当然戸惑うはずですよね。
スパイを見破る方法の一つとして、よく生活習慣の違いがあげられます。顔を洗う際に、日本人なら手を動かしますが、西部劇をご覧なさい、顔のほうを動かしています。また、和物の鋸は一般に引いて切りますが、西洋鋸は押して切るように出来ています。
言葉や文字はそれなりに習得出来ても、立ち居振る舞い、生活習慣といったものは、当該国や地域で実際に揉まれてみないと、なかなか身につくものではありません。我が地域では外国人が目立つようになり、特に同じ肌色の東洋人も多いですが、後ろ姿だけで日本人かどうか、ある程度見分けがつくものです。尤も、日本人自体が自らの伝統文化を顧みず、ただ外来文化を崇めるばかりで、日本人らしくない日本人が増えつつあるのも事実ですね。まことに恐ろしいことであります。
ありがとうございました。
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