《 第17話 》 「運命の七時」
【 あらすじ 】 山本はどくろ仮面の計画を阻止し、繁と木の実を救おうと計画を練るが、バテレンのお由がその話を盗み聞きしていた。柳木博士は自分の研究のために周囲の人が危険に晒されていることを思い悩む。そして、ジョー発爆弾を保管するため田坂が柳木博士を迎えに来る。
運命の七時を待つ、柳木博士の自問自答。
「だんだん時間が迫ってくる。人類のため・・・。私の周りの善い人たちが、次々と災難にぶつかっている。これでいいのか。私の研究は、本当に世の中のためになるのか。」
そこへ、どこからともなく「辛いだろうが、いま暫し待てば幸せやってくる。」と、“月光仮面の歌”が流れてくる。
素敵ですね、この演出。本職の三船浩が歌っているわけではないので、下手くそではあるが、むしろその素人っぽさがより身近に感じられ、視聴者に強く訴えかけてくるんですよね。ひょっとしたら、月光仮面は、自分の傍にも居てくれているのかもしれない、正しい行いさえしていれば、と思わせてくれます。
博士の心情もよくわかる。自分では世の中のためと思った研究が、現実には善良な人々を不幸に巻き込むハメになっているやり場のない苦しみですね。誰しも、大なり小なりこうした悲しみや苦しみに耐え、それを克服してこそ、はじめて喜びや幸福がやってくるのでしょう。
現代の悪しき風潮の一つは、あらゆる艱難辛苦を真正面から受け止めようとせず、すぐ安易な方法を見つけて逃避してしまうところにあるような気がします。昔の人を偉いと思うのは、何事にも当たって砕けろ、の敢闘精神があった、という点ですね。もちろん、すべての人がそうだとは申しません。割合を比較してみたとしたら、ということです。
ついに、運命の午後七時がやってくる。
とみ 「田坂先生、いらっしゃいました。」
田坂 「博士、お迎えにあがりました。」と深々お辞儀。
博士 「お~お。あ、ご苦労さまです。」
田坂 「じゃ、直ぐお車で・・・。」
とみ 「先生(博士のこと)、お荷物は?」
博士 「いや、私が持つ。」と鞄を手に 「さあ、参りましょう。」
田坂 「その中に・・・。重くありませんか。」
博士 「ポケットの中に入れられるくらいの大きさですから、軽いもんです。」
田坂 「そんな小さな物で、この世界の人類を抹殺できるとは、凄いもんですなあ。」
博士 「いやあ、恐ろしいことですよ。じゃ、参りましょう。」
あや子 「お父様、お気をつけになってね。」
博士 「大丈夫だよ。」
田坂 「では。」とあや子に深々とお辞儀。
車が待つ玄関で。
博士 「あや子。行ってくるよ。」
あや子 「はい。」
田坂 「お嬢さん、ご安心ください。わたくしがついております。」
あや子 「お願いします。」
ここまで、博士もあや子もそして警護にあたる松田ら警視庁関係者も、田坂と女中とみがどくろ仮面一味であるなどとは、夢にも思っていません。それもそのはず、これほど完璧な「演技」をされたのでは、疑いようもありませんからね。
ありがとうございました。
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