《 第13話 》 「敵あなどりがたし」
【 あらすじ 】 どくろ仮面の部下は、東都タイムス山本記者の口を封じようと、山本の妹節子を車で連れ去る。しかし、車の運転手は変装した五郎八であった。五郎八の活躍でどくろ一味のバテレンお由は警察に捕まるが、お由が毒を飲み、警官たちが気を取られた間に再び節子が!
節子 「いったいどうしようというのです。降ろしてください。」
お由 短刀を突きつけ 「うるさいっ。ひっひぃひぃひぃひぃ。今から逃げようたって、もうダメだ。これというのも、お前の兄が逆らったからぢゃ。あっはぁはぁはぁはぁ。可愛い顔をして・・・。もうすぐ墓場へ連れ込んでやるぅ。あっはぁはぁはぁはぁ。」 ややあって 「おろっ? 違うぞ同志、行き先が違っとる。」
五郎八(運転手に変装) 車を止めて 「さあ、着きましたよ。」
お由 「ここはどこぢゃ。車が出るところが違うぞよ。」
五郎八 拳銃を取り出し 「おい、おとなしくしろ。吾輩は名探偵袋五郎八様だ。」と黒眼鏡を外す。
節子 笑顔になって 「あっ、五郎八さんっ。」
お由 びっくりして仰け反りながら 「おおっ。」
五郎八 「ははははははは。節子さん、危なかったですね。しかしもう大丈夫。」 お由に 「おい、降りろっ。」
松田 駆け寄り五郎八に 「よう、お手柄、お手柄。」
五郎八 手錠をはめられたお由に 「ははははははは。因果応報、悪いことをした者は必ず捕まるんだ。」といいつつ、拳銃型ライターで煙草に火を点ける。
節子 「まあ、(拳銃は)ライターだったのね。」
五郎八 「すべてはアタマですよ。」
松田 「はっはっはっはっは。五郎八探偵としては上出来だったな。たった今、月光仮面から電話があって、君が悪ババアを連れてくるからと連絡があったよ。」
五郎八 「ふ~ん、しかし偉いもんだなあ。でも、あの月光仮面とは、いったい何者なのかなあ。」
節子 「あら、五郎八さん。探偵のくせにわからないの?」
五郎八 「そう言っちゃねえ。松田さんだって、山本さんだって、わかっちゃいないんだ。」
松田 「いやあ、これだけは謎だ。祝探偵がインドから帰ってくればわかるだろうが、どうも我々には・・・。」
五郎八 「現代の鞍馬天狗みたいなものですからね。神出鬼没。ちょっとこれは、わかりそうにもないですね。」
節子 「自慢しちゃ困るわよ。」
前四作が欠落していて、バテレンお由なる妖婆登場は唐突ですが、『紅孔雀』の黒刀自、『七つの誓い』の黒比丘、そして『豹(ジャガー)の眼』の龍婢、と冒険活劇になくてはならない悪そうババアですね。
それにしても、我が節子さんを脅すとは、許し難い性悪ババアと言わずして何と言おう。実は、第一部、第二部で山本記者を演じる大塚周夫さんは、TVアニメ「ゲゲゲの鬼太郎(原題;墓場の鬼太郎)」の“ねずみ男”役なんですね。それを「墓場に連れ込んでやる。」とは身の程知らずもいいとこ。大塚さんというと、この“ねずみ男”の印象が強いだけに、直に連想して困ってしまいます。
そうそう、第三部以降が冴えなく思うのは、全五部作を通じて固定された配役が祝探偵(大瀬康一)と繁少年(日吉としやす)だけで、めまぐるしく変わる配役も一つの要因かもしれません。贔屓の山本記者兄妹、木の実ちゃん、カボ子さんぐらいは固定してもらいたかった。この種の番組は、第一部の印象が強くなりがちなので、バトンタッチされた俳優さんは大変であったろうとは思います。
しかし、何よりわたくしは、悪役としてのどくろ仮面とサタンの爪(第二部)を演じる武藤英司さんが大好きなのです。一般に悪役たるもの、憎々しげであるほどに正義が引き立つのでしょうが、決してそれが主眼ではなく、飽くなきまでに正統なる「悪人道」(?)を探求する姿勢が見て取れて、ほとほと感心してしまうのです。何しろ、サタンの爪のアジトには、部屋の正面に「団員心得三箇条」という厳しい墨書が、額縁に入れて掲げられていた程ですから。
ありがとうございました。
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