《 第2話 》 「危険重なる」
【 あらすじ 】 怪人・どくろ仮面に狙われていた赤星博士が誘拐され、博士の助手風間も重傷を負い、赤星博士の友人である柳木博士の家に運び込まれる。祝十郎探偵の助手・五郎八が誘拐現場で手がかりを探していると白覆面の男・月光仮面が現われ、風間を監視するように告げる。
DVDで視ると、この風間という男、タイガー役の赤尾関三蔵が演じていますね。この後に欠落回があるので判然としませんが、第2話の最後に何者かによって拳銃で撃たれ、「約束が違う」みたいな言葉を呟いて果てます。それなのに、後日、タイガーとしてピンピンした姿で登場するので釈然としないものがあります。
第一部全篇を通じて、こうした変な場面が幾つも出てきます。例えば、前日の放映では毒入り水を飲むところで終わっているのに、当日の放映では、それを別の人物が口にしかける、といった具合。
日曜を除く毎日放映とはいえ、数回分は撮り貯めしていたであろうと考えるのですが、よくわかりません。察するに、「原作」が既にあったわけでなく、川内康範が構想を練りながら、その都度、「原作」となる脚本を書いていた、というのが真相なのでしょうね。
またまた余談ですが、当時の川内康範は、“官能小説家”であって、子供向けの“本”を書く人ではなかったはずです。それなりに小説のほうは売れていたと思うのですが、近年鬼籍には入られたので、これも謎となってしまいました。
ネット情報によると、制作者の小林利雄は、時代劇にしたかったらしいとのこと。道理で、妖術使いの老婆が出てきたりするわけ。諸般の事情から現代劇に。「月光仮面」の命名も月光(ぐわつくわう)菩薩のイメージからといわれますし、どことなく北村寿夫作『新諸國物語』シリーズを思わせる登場人物や物語の展開を連想したくなります。正義の白鳥党に対する悪のされこうべ党という図式ですね。
台詞の話に戻ると、祝探偵助手の袋五郎八は、「ごろはち」が正式な呼び名なのでしょうし、事実、みんな「ごろはち」と呼んでいますが、この回に限って初顔合わせの月光仮面は、「ごろっぱち」と言っています。
それから、労をねぎらう「ご苦労さま」「お疲れさま」の言葉の使い分けについてですが、この第一部に限らず、全五部作を通じて、全て「ご苦労さま」であって、「お疲れさま」の用例はただの一度も出てきません。業界(?)の一角である放送局にありながらのこの所為、作者の単なる思い入れではないようです。
相手によって「ご苦労」「ご苦労さん」「ご苦労さま」「ご苦労さまでございます」などと丁寧度が違うだけで、上下同格に関係なく、見事に統一されています。自分もずっと「お疲れさま」や夜の「おはようございます」は、業界用語との認識でしたし、目上に対して「お疲れさま」を遣うようになったのは、比較的新しい用例であることが推測できます。
ありがとうございました。
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