第四學年用第三課「ゐなかの四季」
一、道(みち)をはさんで畑一面(はたいちめん)に、
麥(むぎ)は穗(ほ)が出(で)る、菜(な)は花盛(はなざかり)。
眠(ねむ)る蝶蝶(てふてふ)、とび立(た)つひばり、
吹(ふ)くや春風(はるかぜ)、たもとも輕(かる)く、
あちらこちらに桑(くは)つむ少女(をとめ)、
日(ひ)まし日(ひ)ましにはるごも太(ふと)る。
二、ならぶ菅笠(すげがさ)、涼(すず)しいこゑで
歌(うた)ひながらに植行(うゑゆ)く早苗(さなへ)、
ながい夏(なつ)の日(ひ)いつしか暮(く)れて、
植(う)ゑる手先(てさき)に月(つき)かげ動(うご)く。
はへる道道(みちみち)あと見(み)かへれば、
葉末葉末(はずゑはずゑ)に夜(よ)つゆが光(ひか)る。
三、二百十日(にひやくとをか)も事(こと)なくすんで、
村(むら)の祭(まつり)の太鼓(たいこ)がひびく。
稻(いね)は實(み)がいる、日和(ひより)はつづく、
刈(か)つて、ひろげて、日(ひ)に乾(かわ)かして、
もみに仕上(しあ)げて、俵(たわら)につめて、
家内(かない)そろつて、笑顔(ゑがほ)に笑顔(ゑがほ)。
四、そだを折(を)りたくゐろりの側(そば)で、
夜(よる)はよもやま話(はなし)がはずむ。
母(はは)がてぎはの大根膾(だいこんなます)、
これもゐなかの年(とし)こしざかな。
棚(たな)の餅(もち)ひく鼠(ねずみ)の音(おと)も、
更(ふ)けて、軒端(のきば)に雪降積(ゆきふりつも)る。
この唱歌は、戦後歌われなくなったと思いますが、なぜか知っています。おそらく、小五六年時担任の満洲引揚げ訓導先生から教わったのだと思います。当然、教科書に載っていたわけではありません。
昔の田舎(農村)はかくありき、という歌です。とかく暗く辛いとのイメージがつきまとう農村生活ですが、弾むような明るい歌で、好きですね。
ありがとうございました。
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