悪友連に誘われて嫌々行った最初の台湾が、昭和五十五年十二月。ジョン・レノンが射殺された記事が載っていた日でした。その後、やみつきになり、十数回は渡台しましたでしょうか。
そんなわけで、同い年の友人が居ます。お断りしておきますが、性別は♂です。日本語は怪しげですが、意味が通じる程度解してくれました。いまは、文通も途絶えて久しいのですが、かなりの達筆でした。家業はお茶屋さん。烏龍茶(緑茶・珈琲豆もある)の小売です。一人娘があって、四半世紀前の小五でしたから、今頃お嫁に行って母親になっているかもしれません。
台湾での公用語は「北京官話」(標準語)。大陸で言うところの「普通話」ですが、実は夫婦同士は台湾語で会話し、子供とは標準語で話していました。聞くと、子供同士は学校で教わる標準語が定着しており、台湾語は使わなくなっているとのことでした。
この小五の娘たちとともに映画を観に行きました。香港のキョンシー喜劇でしたが、字幕(繁体)が出るんですね。座席も奇数列、偶数列と左右別々に並んでいて珍しい。何よりも映画の冒頭、全員起立して、国歌「三民主義」の斉唱をするんです。画面には、蒋介石前総統(このとき蒋経国政権)や青天白日旗、戦車、戦闘機が現れ、「共匪殲滅打倒!!」とか「亡命兵与賞金○百萬元」とかの巨大な文字。いやあ、びっくり仰天しました。
南東部や中央山岳部に行くと、聞きなれた言葉を耳にする。なんとこれが日本語なんですね。名前にも和風のものが残っている。黄文雄先生なんか、その典型でしょうね。「ぶんゆう」では変換できず、「ふみお」ならすぐ出てくる。公用看板の横書きは、右から左へ読むようになっていました。
関係ないですが、NHKは「台北(たいほく)」と言っていますが。これも日本統治時代の名残でしょうか。でも、なぜか「平壌(へいじょう)」ではないんですよね。現在、大陸との経済交流が盛んで、中共に取り込まれているようなニュースを見聞きすると、隔世の感がありますね。
2007年4月13日(金)の記事
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