行ってきました。(豊後)竹田市。小五の社会見学以来、半世紀ぶり二度目。そのときの記憶も薄れた。いやあ、すばらしい。「美しい国日本」がここにある。
駅に降りたら構内には「荒城の月」の歌が流れていた。昔はもっと賑わっていたはずだが、人影はまばら、静かな町だ。悪く言えば「ゴーストタウン」。それでも、人々の生活が息づいている。不思議である。
昭和初期の町並みといった感じ。なぜだろう? ビルがほとんどない。ビルといえるのは駅近くの保険会社とNTTぐらい。他の建物はほとんど民家風になっている。駅舎や郵便局も、木造や白壁に瓦屋根といった具合。武家屋敷・足軽屋敷も当時の面影を残している。
岡城址にのぼってみた。城郭はなく、苔むした城壁が残るだけ。本丸跡に土井晩翠直筆の「荒城の月」石碑が風雪に耐えていた。渓流と緑の杜に囲まれた城下町を眼下に見下ろす。
いいなあ、大自然のまま、変に手を加えていないところが。「もののあはれ」「わび・さび」の情感が漂う。
廣瀬神社にお参りしました。名物軍艦「比叡」のマストは除去されて今はなく、石碑のみが残っている。神社脇には、阿南惟幾陸軍大将の顕彰碑もあった。
ふるさとの「真実」は、視覚だけでこと足れるものではない。五感すべてで感じてようやくわかるものだ。これまで、ふるさとの景観が変ってしまった、と嘆いていたが、黄色く実った稲穂を目にし、郷土料理を食べ、深い緑の空気を吸い、野鳥のさえずりを聴き、しゃがみこんで土に触れるたびに、あの頃が甦ってきた。己の心を育んでくれた自然や人情は、昔のままだった。
2006年10月4日(水)の記事
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