「台湾訪問を決行」米下院議長、3日に蔡総統と会談
中国、軍事演習動画で露骨な恫喝も怯まない米国
習氏〝権威の低下〟が明確に
8/2(火) 17:00配信/夕刊フジWEB版
アジア歴訪中のナンシー・ペロシ米下院議長が「台湾訪問を決行する」と、米紙ウォールストリート・ジャーナルが2日未明に報じた。複数の台湾メディアは「2日夜に台湾入りし、3日に蔡英文総統と会談する」と伝えている。ペロシ氏は米軍機で訪台するとみられ、中国側は「人民解放軍は決して座視しない」と警告している。中国では今月上旬、最高指導部や長老が国政の重要事項を討議する「北戴河会議」が開かれるが、ペロシ氏の訪台は習近平国家主席による異例の「3期目政権」に影響するのか。米中の軍事的緊張はどうなりそうか。
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「Nancy Pelosi to Visit Taiwan Despite Warnings From China(ナンシー・ペロシが台湾を訪問。中国かの警告にもかかわらず)」
ウォールストリート・ジャーナルの注目記事のタイトルは、こうなっていた。ペロシ氏が間もなく台湾に到着することは会談相手に伝えられているという。米CNNも1日、米台の政府関係者の話として、ペロシ氏が台湾を訪問する見通しだと伝えた。
米下院議長は、大統領が執務不能になった際の継承順位が副大統領に次ぐ要職である。訪台すれば現職下院議長としては1997年のニュート・ギングリッチ氏以来、25年ぶりとなる。
中国共産党政権による軍事的覇権拡大が進むなか、ペロシ氏の訪台は「自由」「民主」「人権」「法の支配」といった価値観を共有する台湾を、米国が支持する強いメッセージとなる。
こうした動きに、中国は激しく反発してきた。
中国外務省の趙立堅副報道局長は1日の記者会見で、「ペロシ氏の訪台は高度にセンシティブだ。いかなる形式の訪台であれ中米関係を深刻に損ない、劣悪な政治的影響をもたらす」「(ペロシ氏の訪台を)中国人民解放軍は決して座視しない。中国側は必ず断固とした有力な対抗措置を取る」と米側に警告した。
中国軍は7月末から、東・南シナ海など中国の周辺海域で複数の軍事演習を実施している。7月30日には、台湾から約120キロしか離れていない福建省福州市の平潭(へいたん)島の周辺海域で、実弾射撃訓練を行ったとされる。
台湾海峡を管轄する中国軍の東部戦区は1日、「陣容を固め命令があればすぐ戦う」と題した軍事演習風景で構成された動画を公表した。SNSでは、大量の軍用車両が台湾近くの福建省に列車で運ばれているとされる動画が拡散されている。
中国共産党機関紙、人民日報系の「環球時報」の前編集長が先月末までに、「(ペロシ氏の搭乗機を)撃ち落とせ」と英語でツイートし、その後、削除された。
露骨な恫喝(どうかつ)に対し、世界最強の米国は怯まない。
米紙ニューヨーク・タイムズは7月31日、ジョー・バイデン大統領がペロシ氏に訪台を断念するよう直接働きかけないことにしたと伝えた。バイデン氏は三権分立を尊重し、中国の脅しに屈する姿勢を見せたくないと考えているという。
米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官も1日、ペロシ氏には訪台する権利があるという認識を示した。
ペロシ氏が訪台する場合、米戦闘機に護衛された軍用機を利用するとみられる。これに対応するためか、米原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする空母打撃群が南シナ海に派遣されている。日本国内の米軍トの潮匡人氏は「中国は、ペロシ氏の動向に激しく反発しているが、いきなり本格的な軍事衝突に発展するとは考えにくい。とはいえ、何もしなければ中国のメンツが潰れるので、例えば、ペロシ氏の訪台中に中国軍機が編隊飛行で台湾に領空侵犯するといった対応が考えられる。一方、ペロシ氏の訪台は検討段階で報じられた。バイデン政権がペロシ氏を止めたかった可能性も読める」と語った。
気になるのは、ペロシ氏の訪台が、中国の習政権に与える影響だ。
今月上旬、中国河北省の避暑地で、共産党の現役指導者や長老らが集まり、幹部人事などを調整する「北戴河会議」が開かれる見通しだ。習氏はここで「3期目政権」を確実にしたいとされる。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「習氏は7月28日の米中電話首脳会談で、『火遊びをすれば必ず焼け死ぬ』と、ペロシ氏の訪台を直接牽制(けんせい)した。このことは極めて重要だ。つまり、習氏は自ら言及したにもかかわらず、ペロシ氏の訪台を止められなかった。習氏の『権威の低下』が明確になり、習氏に反対の立場をとる中国国内の勢力にとって格好の批判材料になるだろう」と語っている。
コメント総数;46件
一、もしアメリカNo.3のペロシが台湾の地を踏むようなことがあれば、それは台湾が独立した国家であるということを世界に示すものです。
つまり台湾に入るのに中国なんて関係ないということになります。一国二制度なんてものは言葉だけ。現実は国として分かれてるということを世界に示すものになります。中国が負けることを意味します。
そうなれば日本も台湾国と国交を持てばいいでしょう。逆にしょーもない中国とは断交してもいいくらいでしょう。
中国が今頃悔しがってると思うと楽しみでしょうがない。
二、中国の主張のどこに正当性があるのか。ペロシが台湾を訪問することを武力恫喝されるいわれはない。米国は「台湾が中国の一部だ」と承認したわけではない。平和的な解決を求めたのだ。ニクソンと周恩来の上海コミニュケ原文を素直に再確認すべきだろう。「米国は、台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は、この立場に異論をとなえない。米国政府は、中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する。」
三、下院議長の台湾訪問は初めててはないのだからここで中国の強硬姿勢に屈したら相対的に米国の国力が落ちている事を認めたも同然だし民主主義の権化たるペロシは独裁国家の前に屈する事などあり得なかった。中国は人民軍を前面に立てて強硬姿勢を取った事は致命的な戦略ミスでかえって習と人民軍の威信を低下させてしまった。大統領継承順位2位の搭乗機に曳航弾だろうがレーダー照射だろうが何かしら力の対応をすれば西側諸国のひとつの中国政策放棄の引き金になるだろう。いつものように事後に強烈な不満砲で済ませば良かったのだ。
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ペロシ氏訪台/蔡総統「民主主義の防衛線守る」
ペロシ氏「結束重要」 総統府で会談/台湾
2022/08/03 12:53配信/フォーカス台湾(中央通訊社)日本語版
(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は3日、台北市内の総統府でペロシ米下院議長と会談した。軍事的な圧力に屈さず、民主主義の防衛線を堅守する姿勢を示した上で、世界の民主主義陣営の国々と団結して「民主主義の価値」を守っていくことに期待を寄せた。ペロシ氏も台湾と結束する考えを示した。
蔡総統は、訪台により米議会の台湾に対する「盤石の支持」を示したと歓迎。また、ペロシ氏が台湾の民主主義に関心を寄せ続け、台湾の国際参加への支持も示してきたとして「最も深い謝意」を表明した。
また、ロシアによるウクライナ侵攻に言及し、「民主主義の台湾」が侵略を受ければインド太平洋地域全体に大きな衝撃をもたらすと指摘。その上で、台湾は軍事的な圧力に屈しないと強調し、国家の主権と民主主義の防衛線を守る考えを示した。
自衛力の向上に努める姿勢も見せた。台湾海峡の平和と安定を守ることに尽力し、「地域の安全を守る安定した重要なパワー」になると宣言。「自由で開かれたインド太平洋」と、サプライチェーン(供給網)の安定した発展を確保する方針を示した。
蔡総統は、国家に大きく貢献した非公務員や外国人に贈る勲章で最高位に当たる「特種大綬卿雲勲章」をペロシ氏に授与した。
▽ペロシ氏、台湾との結束は「極めて重要」
ペロシ氏は、勲章を授与されたことは光栄だと述べた。議員たちの代表として受章するとし、台湾との関係促進には多くの議員が党派を超えて力を注いだと言及した。
米国が43年前に「台湾関係法」を成立させたことに触れ、「米国は台湾の味方である」という固い約束を示したものだったと指摘。この基礎の下、安全保障などにおいて台湾と米国は関係を発展させてきたと述べた。
訪台を通じ、米国は「台湾との約束を破棄しない」ことを伝えたいと言明。台湾がさまざまな挑戦に直面しているとした上で、米国と台湾との結束は「極めて重要」だと強調し、米国と台湾間の固い結束を世間に示したいと語った。
世界は民主主義と権威主義の二択を迫られているとしつつ、米国は台湾と世界の民主主義を守っていくとの姿勢を示した。
(葉素萍、温貴香/編集:楊千慧)
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ナンシー・ペロシ米国下院議長と蔡英文総統という女性同士の会談模様は、中国に遠慮してか日本国内メディアは殆ど速報じていない。しかし、この〝事件″は、全体主義独裁国家(いわゆる東側)と自由・民主を標榜する国家(いわゆる西側)双方の長短両面が浮き彫りになったという意味で興味深い出来事である。
西側は、〝個人の自由″が尊重される分、国家的統制が利き難い。反面、政治的失策は選挙によって責任を取らされるので、政策転換が容易である。逆に東側の場合、表面上は強権により国家的統制が取れているように見えるが、多分に面従腹背が生じるだけだ。しかも、異論が許されないため、政治的多様性を欠き、クーデターか革命で政権が転覆しない限り政策転換は難しい。
なお、「個人主義(≒自由主義)」も「全体主義」も、ともに西洋近代主義思想の産物である。つまり、「全体主義」の対義語は「個人(自由)主義」であって、「民主主義」ではない。現に全体主義国家の一翼を担う北朝鮮でさえ、朝鮮民主主義人民共和国を名乗っているではないか。習近平が宣う「中国式民主主義」もまんざら噓八百とも言い切れないのだ。
【個人主義】
① 《individualism》国家・社会の権威に対して個人の意義と価値を重視し、その権利と自由を尊重することを主張する立場や理論。
② 「利己主義(エゴイズム)」に同じ。
【自由主義】
個人の権利や自由を基本とし、社会のあらゆる領域における個人の自由な活動を重んずる思想的立場。ロック・ルソー・アダム=スミスらがその代表。17、18世紀の市民革命の成立と、資本主義の興隆とともに発達。本来は国家の規制・干渉を最小限にとどめる自由放任主義の立場を唱えたが、20世紀以降は大資本に対する労働者や消費者の社会的自由を重視し、富の再配分を是認する思想も包含する。リベラリズム。
【全体主義】
① 個に対して全体を優先させる主義。
② 個人の権利や利益、社会集団の自律性や自由な活動を認めず、すべてのものを国家の統制下に置こうとする主義。独裁や専制政治などと同義に用いられる。
西洋思想の根幹に「奪い取る」という利己主義的動機がある限り、「分かち合う」との解決策は見出せないだろう。中国の場合、19・20世紀に欧米や日本などの列強に領土を蹂躙された屈辱の歴史をバネに、現代では通用しない帝国植民地主義的手法を以て復讐しているに過ぎず、そこに思想的裏付けなど皆無に等しい。彼らに「分かち合う」「譲る」「与える」といった互助互恵、共存共栄の利他主義的発想などないのだ。
そこで、我が日本の役割が注目される。近代(明治維新以降)に入って、世界の趨勢を我国が常にリードしてきたといっても過言ではあるまい。即ち、戦前の国際連盟創設における人種差別撤廃(白人支配からの脱却)の提案、戦時中における大東亜共栄圏構想(欧米列強による植民地支配からのアジア解放=民族自決の原則)など、前者は米国の反対により、後者は敗戦により頓挫したかに見えたものの、今日では世的なコンセンサスを得て国際条約の根本原則に採り入れられている。
我ら国民性の根柢にあるのが『古事記』由来の所謂「シラス」という考え方である。
【シラス】-知らす・治らす・統らす-
万物(人間含む)を自然界全体の共有物と見做す考え方
=八紘爲宇思想に基づく互助互恵・共存共栄型利他主義社会
【ウシハク】-主履く-
万物(人間含む)を主(あるじ=支配者)の所有物(私有物)と見做す考え方
=弱肉強食の階級闘争型利己主義対立社会
ウシハク型国家が概ね屈服(強権抑圧)統治であるのに対し、シラス型国家は悦服(悦んで従わせる)統治が特徴である。但し我が大御宝(天皇の民)は、恵まれ与えられ譲られ助けられてきた歴史を有するため、奪い合う環境に慣れていない。ゆゑに、詐欺に騙され易い弱点もある。前稿の「ニホンノセイダーズ」なんかの詐欺行為に騙され続けるのはその典型だろう。
西洋思想乃至中華思想に被れた自称「知識人」どもは、我国古来の思想を小バカにしているから、逆立ちしてもシラス的考えが浮かばないのですよ。どうでもいいけど、「対立」の音読みは〝タイリツ″だが、訓読み(つまり大和言葉)では〝ならびたつ″となるらしい。如何にもシラス的解釈ではなかろうか。
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