喫茶店の片隅で(昭和30年)-矢野亮作詞/中野忠晴作曲
歌;松島詩子
アカシヤ並木の黄昏は
淡い灯がつく喫茶店
いつもあなたと逢った日の
小さな赤い椅子二つ
モカの香りがにじんでた
ふたり黙って向きあって
聞いたショパンのノクターン
もれるピアノの音につれて
つんでは崩しまたつんだ
夢はいずこに消えたやら
遠いあの日が忘られず
ひとり来てみた喫茶店
散った窓辺の紅バラが
はるかにすぎた想い出を
胸にしみじみ呼ぶこよい
オリジナルのSP盤が発売された昭和30年は、就学間もない小学二年生。地味な曲なのですぐにはヒットせず、火が点いたのが確か昭和35年前後だったと思う。それでも未だ小学六年生ですからね、歌詞の意味など解ろうはずもない。しかし、“モカの香り”と“ショパンのノクターン”のフレーズだけは、何故か鮮明に記憶している。
したがって大学生時分は、コーヒーが「モカ」なら興味なかったピアノ曲もショパンのノクターン(当時は「夜想曲」と言ったほうが一般的だった気がする)だけは別格だった。で、遺作を含めて21曲のうち、どれがこの歌に相応しいだろう? 有名なのは第2番、第8番辺りだろう。多分、作詞者もどちらかをイメージしたのかもしれない。第2番では明朗過ぎるから、おそらく第8番のほうかな。
ショパン『夜想曲第8番変ニ長調作品27の2』
演奏;ディヌ・リパッティ(1917-1950)・・・死の10ヶ月前ライブ録音
しかし、第11番が最も歌詞に合うのではなかろうか。
ショパン『夜想曲第11番ト短調作品37の1』
演奏;アルトゥール・ルービンシュタイン
個人的には第19番を好みますけどね。なかんずく、ショパン存命中に生まれ、フランツ・リストに師事したパハマンの演奏が最高。
ショパン『夜想曲第19番ホ短調作品72の1』
演奏;ウラジミール・ド・パハマン(1848-1933)-1927年録音
映像は9分7秒もあれど、演奏時間は4分3秒にすぎず。
コメント