人気時代劇シリーズ第10位は『桃太郎侍』(日テレ;昭和51年)。原作が山手樹一郎の人気時代小説だから、映画・TV時代劇を問わず幾種か映像化されている。
映画版
01.修羅城秘聞双龍の巻(大映;昭和29年)
02.続修羅城秘聞飛雲の巻(大映;昭和29年)
衣笠貞之助監督・脚本、西悟郎音楽
長谷川一夫、轟夕起子、沢村晶子、大河内傳次郎、坂東好太郎、
03桃太郎侍(大映;昭和32年)
三隅研次監督、八尋不二脚本、斎藤一郎音楽
市川雷蔵、浦路洋子、河津清三郎、木暮実千代、堺駿二
04.桃太郎侍江戸の修羅王(東映;昭和35年)
05.桃太郎侍南海の鬼(東映;昭和35年)
深田金之助監督、尾形十三雄脚本、小倉博音楽
里見浩太郎、千原しのぶ、朝風みどり、坂東好太郎、尾上鯉之助
06.桃太郎侍(大映;昭和38年)
井上昭監督、八尋不二脚本、
本郷功次郎、高田美和、久保菜穂子、成田純一郎、城健三朗(若山富三郎)
TV劇版
01若杉恵之介主演(NET;昭和37年)
02.尾上菊之助(尾上菊五郎)主演全26話(日テレ;昭和42年)
03.高橋英樹主演全258話(日テレ;昭和51年)
04.高橋英樹主演単発スペシャル版全3回(テレ朝;平成4年)
05.高嶋政宏主演全8話(テレ朝;平成18年)
『桃太郎侍』のタイトルぐらいは子供の頃から知っていたけど、映画・TV劇ともリアルタイムで視たものは一つもない。然りながら、現役を退いてから放送録画を趣味とするようになり、映画「3」とTV劇「3」だけを入手出来た。尤も、『桃太郎侍』といえば高橋英樹といわれるほど有名かつ人気長寿(約5年間)番組だから、これさえあれば充分だろう。
本番組の特徴は、大団円で桃太郎が悪人一味を一網打尽にする際の
ひと~つ、人の世生き血を啜り、
ふた~つ、不埒な悪行三昧、
みっつ、醜い浮世の鬼を退治てくれよう桃太郎!
と【桃太郎数え歌】と称されるキメ台詞。第27話から始まる【数え歌】、それまでは出て来ない。聞くところに拠ると、主題歌を歌う三波春夫から「派手なほうが似合う」と指摘され、高橋英樹自身が工夫したのだとか。リアルタイムでは毎週一回だがらさほどでないかもしれないが、録画して連続で視るとこのキメ台詞が却って外連味に通じて食傷気味になるから不思議である。総じて初期の頃が佳く、後年になるにしたがってキメ台詞などのパターン化が進み、手抜きとまでいわないが一種のマンネリ傾向を否めない。
昔話『桃太郎』の猿・雉・犬に相当するアシスト役が替わるので、それが一つの節目となっている。
・第1話~第51話
猿(ましら)の伊之助=演;植木等)
・第52話~第96話
雉の与之助=演;藤岡琢也
・第99話~第258話
蛙(かわず)の田之助=演;山城新伍
「犬」の代わりに「蛙」が出て来るが、ネーミング理由は不明。なお、雅語の「ましら」でなく、伊之助が自らを「さる」と名乗っているのには違和感を覚える。
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