人気時代劇シリーズ第7位の『子連れ狼』(日テレ;昭和48年)も、これまで記事にしたことがないと思う。けれども、原作である劇画(小池一夫原作/小島剛夕作画;昭和45年)は、通勤時に購入する漫画週刊誌に連載されていたのを読んだことがあるし、テレビ放送(萬屋錦之介版)も結構評判になって垣間見たことぐらいはある。この萬屋版がてっきり初映像化作品と思い込んでいたが、そうではなかった。
若山富三郎主演東宝映画(勝プロ制作)『子連れ狼』シリーズ
01.子を貸し腕貸しつかまつる(昭和47年1月公開)
三隅研次監督/小池一夫脚本/桜井英顕音楽
02.三途の川の乳母車(昭和47年4月公開)
三隅研次監督/小池一夫脚本/桜井英顕音楽
03.死に風に向う乳母車(昭和47年9月公開)
三隅研次監督/小池一夫脚本/桜井英顕音楽
04.親の心子の心(昭和47年12月公開)
斎藤武市監督/小池一夫脚本/桜井英顕音楽
05.冥府魔道(昭和48年8月公開)
三隅研次監督/小池一夫脚本/桜井英顕音楽
06.地獄へ行くぞ!大五郎(昭和49年4月公開)
黒田義之監督/小池一夫脚本/村井邦彦音楽
TV劇初放送萬屋錦之介主演『子連れ狼』(日テレ)
第一部(全27話;昭和48年4月~昭和48年9月)
大五郎(西川和孝)、柳生烈堂(高橋幸治)、ナレーター(小林清志)
主題歌『ててご橋』(小池一夫作詞/渡辺岳夫作曲/唄;バーブ佐竹)
第二部(全26話;昭和49年4月~昭和49年9月)
大五郎(西川和孝)、柳生烈堂(西村晃)、ナレーター(小林清志)
主題歌『ててご橋』(小池一夫作詞/渡辺岳夫作曲/唄;バーブ佐竹)
第三部(全26話;昭和51年4月~昭和51年9月)
大五郎(佐藤たくみ)、柳生烈堂(佐藤慶)、ナレーター(内藤武敏)
主題歌『子連れ狼』(小池一夫作詞/吉田正作曲/唄;橋幸夫)
映画版は全て未見。TV版はほかに後年北大路欣也主演(テレ朝;平成14年)でリメイクされているがこれまた未見。萬屋版だけが知ってる映像ということになる。したがって、異作品間で比較論評は出来ないが、全三部作間同士でなら可能。ベースが暗くて陰鬱な物語だけに、全篇通して視るには、難儀なことこの上ない。とりわけ、第一・第二部など、笑えるシーンなど皆無に等しい。ところが、第三部で阿部頼母(金田龍之介)という新たな登場人物が絡むに至って俄然面白くなる。ニコリともしない金田龍之介の演技が秀逸。視聴者を意識して笑わせるために演ずるお笑い芸人と違い、当人は大真面目で演じているから余計に滑稽さが弥増すのである。
なお、有名な橋幸夫が唄う『子連れ狼』は、この萬屋版のために作られたと勘違いしていたが、番組とは無関係に、原作から着想を得たオリジナル楽曲なのだとか。レコード発売以来、注目を集めるようになって初めて第三部の主題歌として使われたらしい。第二部と第三部の放送間隔には約一年半のブランクがあることも影響していよう。バーブ佐竹の番組オリジナル主題歌『ててご橋』(第一・第二部で使用)も捨てがたい。
コメント