『右門捕物帖』(日テレ;昭和44年)は人気TV時代劇ベスト10には入ってないが、原作が佐々木味津三の人気時代小説なので、映画にテレビに幾度もリメイクされている。誰が決めたか知らないが、この世に「五大捕物小説」という物があるそうな。
五大捕物小説(時系列順)
・岡本綺堂著『半七捕物帳』
大正六年-昭和十二年
・佐々木味津三著『右門捕物帖』
昭和三年-昭和八年
・野村胡堂著『銭形平次捕物控』
昭和六年-昭和三十二年
・横溝正史著『人形佐七捕物帳』
昭和十三年-昭和四十三年
・城昌幸著『若さま侍捕物手帖』
昭和十四年-昭和四十三年
こうして見ると、戦後まで続いた物もあるけど、全て戦前に書かれた時代小説なんですね。このうち『銭形平次-』『人形佐七-』は既に採り上げたし、『半七-』は映画・TV劇とも未見、『若さま侍-』ならTV版は未見なれど、大川橋蔵の映画シリーズ版が思い出される。未だテレビが普及してなかった昔のこととて、スタンダードサイズでモノクロ映像がちょうどテレビの連続放送劇でも見るかのような趣があるから不思議である。
『右門捕物帖』の場合は、どうなっているだろう。
映画化作品(23本)
嵐寬寿郎主演版
・一番手柄南蛮幽霊(昭和4年)
・六番手柄仁念寺奇談(昭和5年)
・三十番手柄帯解け仏法(昭和7年)
・★十万両秘聞(昭和14年)
・謎の八十八夜(昭和24年;東宝)
・伊豆の旅日記(昭和25年;新東宝)
・片眼狼(昭和26年;新東宝)
・帯とけ仏法(昭和26年;新東宝)
・緋鹿の子異変(昭和27年;新東宝)
・謎の血文字(昭和27年;新東宝)
・からくり街道(昭和28年;新東宝)
・妖鬼屋敷(昭和29年;東宝)
・まぼろし変化(昭和29年;東宝)
・献上博多人形(昭和30年;東宝)
・鬼面屋敷(昭和30年;東宝)
・恐怖の十三夜(昭和30年;東宝)
大友柳太朗主演版
・片目の狼(昭和34年;東映)
・地獄の風車(昭和35年;東映)
・★南蛮鮫(昭和36年;東映)
・まぼろし燈籠の女(昭和36年;東映)
・★卍蜘蛛(昭和37年;東映)
・★紅蜥蜴(昭和37年;東映)
・蛇の目傘の女(昭和38年;東映)
TVシリーズ(5番組)
01.中村竹弥主演(昭和32年;KR-TV)
02.黒川弥太郎主演(昭和37年;関西テレ)
03.★中村吉右衛門主演(全26話;昭和44年;日テレ)
04.杉良太郎主演(全51話;昭和49年;NET)
05.杉良太郎主演(全33話;昭和57年;日テレ)
註)★印は所有している作品
所有作を含めてリアルタイムで見た作品は一つもない。TV版なら中村吉右衛門の『右門-』しか知らないわけで、それもごく最近の話。吉右衛門は後年の『鬼平犯科帳』が当たり役なら小粋なヲヂサン・イメージが強いけれど、本作では未だ青年だし役柄もあってまるで正反対。柏木由紀子、岩井友見、亀井光代、松本めぐみ、大谷直子、宇都宮雅代、中山麻里、酒井和歌子、伊藤栄子ら当時の若手人気女優がゲスト出演しているのが嬉しい。なお、第1話「右門登場」には、初代右門役の嵐寬寿郎も出ている。
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