昔のドラマ(とりわけ時代劇)の放送録画を趣味にして五年ほどになる。「昔の」という枕詞を付けたのは、もちろん懐かしさもあってのことだが、それだけではない。近時におけるドラマの劣化が著しく、視るに耐えないからだ。
そこで、面白い統計を見つけたので下記してみよう。
人気時代劇シリーズ・ベスト10(2014年調査;30~60代年齢層別)
01.必殺シリーズ(1972年;朝日放送)
主演;林与一、緒形拳、田村高広、山崎努、藤田まこと他
02.水戸黄門(1969年;TBS)
主演;東野英治郎→西村晃→佐野浅夫→石坂浩二→里見浩太朗
→武田鉄矢
03.大岡越前(1970年;TBS)
主演;加藤剛
04.鬼平犯科帳(1969年;NET/テレ朝→フジテレ)
主演;松本幸四郎→丹波哲郎→萬屋錦之介→中村吉右衛門
05.暴れん坊将軍(1978年;テレ朝)
主演;松平健
06.遠山の金さん(1971年;NET/テレ朝)
主演;中村梅之助→市川段四郎→橋幸夫→杉良太郎
→高橋英樹→松方弘樹→松平健
07.子連れ狼(1973年;日テレ)
主演;萬屋錦之介
08.木枯し紋次郎(1972年;フジテレ)
主演;中村敦夫
09.銭形平次(1966年;フジテレ)
主演;大川橋蔵
10.桃太郎侍(1976年;日テレ)
主演;高橋英樹
こうしてみると、断片的にせよ、最初期の放送回をリアルタイムで視ていたのは「01」「02」「03」「04」「06」「08」「09」で、「05」「07」「10」にその記憶がない。つまり、テレビそのものを殆ど視なくなった時期と符合する。伝統的時代劇に画期的な変化をもたらしたのが「必殺シリーズ」と「木枯し紋次郎」である。ともに、1972年(昭和47年)に登場している点が興味深い。前者は“人殺し”を生業とする裏社会の人物たちが主人公であり、後者は今日の我国を暗示するかのように、時代劇とは名ばかりの、義理も人情もない西洋趣味の和製西部劇と言わざるを得ない。
世の中が事実上の「アメリカ属国」に成り下がっている今日、時代劇とて例外ではあるまい。何れも長寿(?)を誇る番組なれど、多くの場合、後年になるにつれて役者も変わって最初期の頃とは別物といった酷い有り様だ。けれども人気時代劇だけあって、リアルタイムで視てない番組も含めて10作品(但し必ずしも全放送話ではない)とも手許に揃っている。
人気の秘訣は、どうやら老若男女が笑える面白可笑しい内容にありそうだ。10作中では比較的短命に終わった「07」「08」を除き、最初期は真面目な作りであったのが、今日へ近づくほどに「下卑た笑い」が横溢してくる。
次稿より、これまで採り上げなかった作品に付き、個別具体的に論評を加えてみたい。
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