その昔の児童向け月刊雑誌に。『少年倶楽部』(講談社;大正3年~昭和37年)、『少年』(光文社;昭和21~43年)、『少年画報』(少年画報社;昭和23~46年年)、『ぼくら』(講談社;昭和30~44年)、『冒険王』(秋田書店;昭和24~54年)などがあった。概ね、我ら[団塊の世代]とともにあった、と言っても過言ではあるまい。
ちょうどテレビ創成期と重なる時代だったことも手伝って、各誌の人気連載漫画が次々とテレビドラマ化(ただし、ほとんど【実写版】)されていった。既存メディアたるラジオでドラマ化された作品を含めると夥しい数になる。主要作品を列挙しておこう。
☆ 『少年クラブ』連載物
・川内庚範(桑田次郎)『月光仮面』(KR=TBS-TV;昭和33年)
・高垣眸(たつみ勝丸)『豹の眼』(KR-TV;昭和34年)
☆ 『少年』連載物
・手塚治虫『鉄腕アトム』(MBS;昭和34年)
・横山光輝『鉄人28号』(NBSラジオ;昭和34年、NTV;昭和35年)
・堀江卓『矢車剣之助』(NTV;昭和34年)
☆ 『少年画報』連載物
・福井英一/武内つなよし『赤胴鈴之助』(KRラジオ&TV;昭和32年)
・桑田次郎『まぼろし探偵』(KRラジオ&TV;昭和34年)
☆ 『ぼくら』連載物
・武内つなよし『少年ジェット』(FTV;昭和34年)
・円谷プロ『ウルトラQ』(TBS-TV;昭和41年)
☆ 『冒険王』連載物
・川内庚範(九里一平)『アラーの使者』(NET=テレ朝;昭和35年)
・石森章太郎『仮面ライダー』(NET;昭和46年)
昭和37年以前は九州(福岡&大分)在住だったので、そこまでのテレビ版は『豹の眼』と『アラーの使者』(ともに開局したばかりのOBSで放送された)しかリアルタイムで視ていない。それでも、『鉄人28号』『赤胴鈴之助』『まぼろし探偵』はラジオ版を聴いていたし、その他も関東へ出てきた後の再放送を視て大抵知っている。この度懐かしさもあって、なかなか再放送されない当時のテレビ版DVDをレンタルしてみた。『まぼろし探偵』『ウルトラQ』『源義経』(NHK大河ドラマ総集編;昭和41年)など。制作年代からして全てスタンダードサイズのモノクロ映像のはずなのだが、『ウルトラQ』だけ何故か“総天然色”の副題が付いた後年のカラー着色版になっている。
『まぼろし探偵』のみ今回が初見。ただ、ラジオ版で既知のため、オープニング主題歌が懐かしい。
視る側が気恥ずかしくなるようなコスチュームといい、幼稚な映像技術や現実離れした物語展開といい、成人した今となっては観賞に堪えうる代物ではありませんな。それでも、子役時代の吉永小百合、藤田弓子の初々しいご尊顔が拝めるのが嬉しい。ラジオ版も同じ役柄だったと思うが、女性なればこそ声質も国民的大女優になった後年のそれとあまり変わっておらず、ラジオを聴いていた“あの頃”が鮮やかに甦る。
『源義経』は古語(大和言葉・武家公家言葉)が多用され、今視るとかなり難解な作風である。『ウルトラQ』は着色された擬似カラー版のため、モノクロで視た当時とはやや印象が異なるが、元々カラーで制作された次作『ウルトラマン』より大人の観賞にも堪えうる仕上がりになっている。つまり、情緒的表現力に富むがらに他ならない。そこへ行くと今時のドラマは技術の革新的進歩と引き替えに、アメリカニズムに毒されて【日本人の心情】の欠片もない無国籍で空疎な内容に堕してしまった、と言わざるを得ない。これでは誰も視る気がしなくなるのも道理ではないか。
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