《加入2年目多チャンネルプレゼント(7月28日終了)》+新規購入レコーダ-(パナソニック製ディーガBRZ1000)用の《2週間お試し無料体験(8月5日まで)》という「スカパー!」両キャンペーンにより、このところ録画三昧の日々である。無料開放のおかげで契約中の時代劇専門チャンネル(CS292)に限らず、一時的にせよ他チャンネルで放送中の昔の古い現代劇(?)をも視ることができる。
その結果、「時代劇」よりも「現代劇」のほうが、当時の世相を色濃く反映しており、なかなか興味深い。例えば『江戸川乱歩シリーズ』。『滝俊介主演の明智小五郎』(東京12Ch;昭和45年)と『天知茂主演の美女シリーズ』(テレ朝;昭和52年~昭和60年)が、チャンネルこそ異なれど並行して放送されている。まだ全てを網羅したわけではないが、原作がともに【江戸川乱歩】であり、当然ながら幾篇かダブっている。しかし、視聴感がまるで異なる。
滝俊介版はリアルタイムで視ていた記憶があり、頗る懐かしい。他方の天知茂版は、【明智小五郎と言えば天知茂】の評判を獲ったシリーズ。しかし、おのれにとっては今回が初見同然ゆゑに、今ひとつピンと来ない。幼稚な作風の前者に比し完成度からも後者が上だろうが、個人的な好みを言わせて貰えば、誰が何と言おうと滝版のほうが断然面白い。
『江戸川乱歩シリーズ・明智小五郎』(東京12Ch;昭和45年)
オープニング&エンディング
懐かしいなぁ。江戸川乱歩作品群は、少年雑誌向け『少年探偵団』や『怪人二十面相』などが本流のはず。本作はそうした体裁を踏襲しており、多少のエログロ要素があるものの必ずしもそれを「見せ場」にしてないから、家族ぐるみで愉しめる。つまり、テレビが“家族の共有物”であった時代の名残を留めている、ということ。サイケデリックな画面と菊地俊輔のグループサウンズ調テーマ曲が「当時」の“ファッション(流行)”を殊更印象づける。
七年後の『美女シリーズ』は、テレビを個々人で視る時代に入ったと窺い知れる。
『江戸川乱歩の美女シリーズ』(テレ朝;昭和52~60年)
予告篇
奇を衒うかのようなエロ・グロ・サスペンスを「売り物」にしていては、とても“一家団欒”で視る番組とは言い難い。それに、YouYube動画は予告篇のため実感が伴わないが、実際は2時間(一部3時間)の長編ドラマであり、冗漫過ぎて最後まで視るのがかなり辛い。
上述よりちょっと前までのテレビ界は、時代劇・現代劇を問わず「ホームドラマ」の全盛期であった。ここで言う「ホームドラマ」とは、家族揃っての観賞に堪えうるドラマのことを指す。
『3人家族』(TBS;昭和43年)
まだ学生ながら20歳に達し、自分がちょうど成人(?)した頃の番組。主題歌『二人だけ』もよく憶えている。中身は典型的な“メロドラマ”に過ぎないが、題名に偽りなく「家族」ぐるみで愉しめた。いわゆる「ホームドラマ」の特徴は、大した“事件”が起こるわけでもなく、主人公とその周囲の日々繰り返される同じような日常生活が淡々と描かれるだけで、一見地味で面白味に欠けると思われるかもしれない。
しかし、「地味」は「滋味」に通じている。おのれの実生活を顧みるに、記憶に消し難いほどの一大事など極めて稀、大概は昨日も今日も明日も似たような暮らしではないか。従い、こういう「ホームドラマ」のほうが「現実味」があって、遙かに身近な印象を受ける。具体的には、自分が出演者の一人にでもなったかのように、何の違和感もなく劇中へ潜り込めるのですよ。
脚本を書いた山田太一の後年述懐に拠ると、このドラマは当時の大家族中心「ホームドラマ」へのアンチテーゼだったのだとか。父子と母子家庭同士の物語は、大家族から核家族化へと時代が進む流れを、なるほど先取りしていたとも言えよう。
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