4日(火)にヨドバシドットコムで予約しておいたSonyの新Walkmann NW-A16が、発売予定日(8日)前にも拘わらず本日(6日)昼頃もう届いてしまった。注文履歴欄にはわざわざ朱書きで《ご予約商品につきましては、発売日以降のお渡しとなります。発売日より前に商品をお渡しすることはできませんので、あらかじめご了承ください。》とあるのに、いいのだろうか。
尤も、ネット上の口コミ情報によると、ソニー直販サイトで予約したユーザー(複数)が、6日に届くとのメールをもらった、と得意気に語っていた。が、そもそも発売日そのものが【予定】だったことからして、真相はそれが二日ほど早まっただけなのかも知れない。
さっそく充電し試聴してみる。これより先に音楽ファイルは、パソコンのMediaGOから手持ちのmicroSDXCカード(SanDisk社64G)へ既に取り込んである。ところが取扱説明書を読むと、使用前にWalkman本体で必ず初期化するように書いてあるではないか。面倒だけどその指示に従う覚悟で着装してみたところ、何の問題もなくすんなり認識してくれた。余計な手間が省けて、あぁよかった。
再生環境は以下のとおり。
・DAP→Walkman NW-A16
・イヤホン→Westone WST-W40(DAP直挿)
・リケーブル→SunCable社Ancient Legacy
一聴しただけだが、これがまことに素晴らしい。因みに音質調整は、[DSEE HX]のみONにし、その他はすべてOFF。というか、これをONにすると、そもそもイコライザー類が無効になる仕組みになっている。
肝腎の音は、おのれの趣味とは正反対。かなりシャープ(硬質)で解像度優先のモニターライクな方向付けのようである。従って、明るく元気よく聞こえる。悪く言えば些かデジタル臭いが、かといって嫌味になってないのは、派手な音響効果を狙った作為的な音とは似て非なるからだろう。むしろ、妙な味付けを感じさせない分、これこそ“真実の音”なのかも知れない。
何よりアンプ部が着実に進化している。これまで、パソコンのiTunesやMediaGoの元音源をUSB/DACを介して聴くのとDAP直挿しでは、あまりにも音質が違いすぎた。iPodは論外としても、一年前に買ったソニーのNW-F887でさえ、元音源よりやや痩せた音でしか聴けなかった。それに比べるとこのNW-A16の場合、パソコンの元音源になんら遜色ない音質で聴くことが可能となったのである。
iPodはもう放ったままなので除外するが、以下でF887との比較を試みよう。再生環境は先述と同条件にした。
☆ 鴛鴦錦(いぇやんちん) - 台湾TVドラマ《梅花三弄之二『鬼丈夫』》主題歌
by 葉歡(いぇ・ふぁん)
電子楽器が入っているだけに、シャープで解像度が高いA16の独壇場。特に間奏部、大太鼓のドスンという一打と共に盛り上がるところが堪らない。一方、音場の広さや奥行きの深さではF887のほうが一枚上。音の重心も低く重量感が増す反面、やや籠もって響く。壮大な交響曲や管弦楽曲ならいざしらず、ポピュラー曲には“切れ味”も必要と思うから、A16に軍配を揚げたい。
☆ Beethoven "Symphony No.3(1.Mov.)"
by Franz Konwitschny - Leipzig Gewandhaus Orchestra
ベートーベン『英雄』で初めて買ったレコードがこの録音。LP一枚二千円が相場の昭和30年代後半、フォンタナレーベル廉価盤(確か千二百円)だったから飛びついた。何せ、貧乏高校生の頃なもので。廉さに味を占め、第一&第二、第四&第五のレコードも続けて買った。もうこのオリジナル盤(?)を聴くことはなくなった(現在の愛聴盤は画像のCD全集)が、現物は未だに手許に残してある。
ほどなく、当時評判の高かったカラヤン・ベルリンフィルのレコードも買い足した。確かに、スポーツカーをぶっ飛ばすような爽快感はあっても、ベートーベンからは遙か遠い演奏という気がした。今改めて聴き直すとコンヴィチュニー盤は、何とものんびりした田舎くさい響きがしますねぇ。でも、この演奏に馴らされたせいか、これこそがオーセンティック(正統的)なベートーベンではないかと思えてくるから不思議である。差し詰めカラヤンが現代風ベートーベンなら、コンヴィチュニーのはベートーベン在りし頃の再現といったところか。
話が逸れたが、A16で聴くと鈍重さが影を潜めてカラヤン風の爽快感が加わる。対するF887では、古色蒼然たる音色の中に、古武士のような風格が備わる。好みで言えば断然F887だが、その日の気分によってはA16も捨てがたい。
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