これまで韓流ドラマばかりに偏りすぎた。だからというわけではないが、台湾ドラマのことも話題にしてみよう。
1980年(昭和55年)の初渡台以来、1990年代まで幾度となく台湾を訪れた。何れも一週間程度の観光旅行とあっては、宿屋にTVがあろうと、それにかじりついているはずがない。視るとはなしに視ていただけの話である。従って、掲題のドラマもリアルタイムで視たわけでなく、サントラ盤CDを購入してのちにドラマの存在を知ったほど。CD購入時(1993年)には、もう放映が終了していた。
このサントラ盤CDが気に入り、後年になって当該ドラマについて調べたところ、台湾の女流作家瓊瑤(QiongYao;けいよう)の同名小説が原作だとか。TVドラマとほぼ同時進行で書かれたらしい。そのためか、数年前香港の通販で買ったDVDのクレジットを視ると、原作だけでなく監製(プロデューサー)や主題歌の作詞者として瓊瑤の名が挙がっている。中文版ウィキペディアによると彼女は、香港の著名な武侠作家金庸と遠戚関係にあるのだそう。
ドラマ自体、政治的な対立を他所に、当時では珍しい大陸ロケが行われている。そんなこともあって、大陸側でも放映されたらしい。作者は昭和13年生まれだから、日本統治時代を知る世代である。しかも、女流作家。だからかどうかは知らないが、中国・韓国ドラマにありがちな権力(武力)を誇示する時代劇とはやや趣が異なるように思う。つまり、女の視点で描かれており、皇帝であろうが主人公であろうが男の登場人物は、女性陣の引き立て役でしかなく“刺身のつま(?)”に過ぎない。
サントラ盤に関しては、電子楽器を含む今風のアレンジにも拘わらず、不思議と映像に融合していて違和感はない。そこへ行くと韓流は酷い。一大恋愛ドラマに仕立てたいのか、物語とは関係ない媚び甘えるような今風の挿入歌が心地悪さを助長する。
三部構成なので、サントラ盤も三回に分けて採り上げる。梅花簪と白狐の蘇州両面刺繍が三部作を結びつけている。まずは、第一作《梅花烙》から。
☆ 梅花三弄 - 姜育恆(ちゃん・ゆうはん)
オープニングに流れる全篇を通した事実上のメインテーマソング。この曲のMVもCDと同時に買った。雄大なスケールを殊更強調したかのような出来栄えは、日本と同じ島国とあって、台湾の人々もこうした大陸的なスケールに憧れるのだろうか。
☆ 痴情不是一種罪過 - 潘越雲(ぱん・ゆぇゆん)
潘越雲という歌手は、こういう時代劇の歌が多いように思う。
☆ 你是我心底的烙印
- 鍾鎭濤(ちょん・ちぇんたぉ)・章蓉舫(ちゃん・ろんふぁん)
満洲風結婚式の場面で歌われていた。清朝期は漢人より満洲人のほうが身分が上だったのだ。
☆ 你我曾經走過紀元 - 費玉清(ふぇい・ゆいちん)
エンディングテーマ曲。鼻にかかったような声は本来好きではないが、この人の場合は別格で、カセットテープからCDに至るまで数多く所有している。
なお、三作ともYouTubeで全篇の視聴が可能。尤も、各篇それぞれに丸一日がかりで視なければなりませんが・・・。
☆ 梅花三弄之一《梅花烙》 - 全二十一集
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