語学がまるでダメな私奴にとって、タイ語はたいそう難しい。「タイ語は簡単よ。」と当地の知人(日本語ガイド)はこともなげに宣うが、「そりゃ母国語なんだから当り前でしょうよ。」と言い返したくもなる。その知人に言わせると「日本語は(タイ語より)遙かに難しい。」らしい。“らしい”というのも、日本語が母国語の当方には、そうした実感がないからに他ならない。なるほど言われてみれば、世界最大の語彙数を誇る日本語は、外国人にとって難解であると観て差し支えなかろう。
英語の第一人称は、男女別身分地位の上下関係に拘わらず、“I(My,Me)”の一語しかない。中国語でも同様に「我」のみ。タイ語人称代名詞には男女別があり、ผม(ぽむ;男が遣う「僕」に相当)とดิฉัน(でぃちゃん;女が遣う「わたし」に相当)がそれ。ただ、どちらかと言えば改まった他人行儀な語なので、一般の会話には男女ともฉัน(ちゃん)が広く用いられてるみたい。加えて文章語には、「わたくし」を意味するข้าพเจ้าという語も存在するらしい。
私奴のタイ語能力は現地幼稚園児以下だから論外としても、「タイ語は簡単」とする知人の真意は、「日本語に較べて語数が少ない上、助詞の類も無いので、単語を並べるだけで通じるよ。」と言いたかったのだと思う。果たして「私は学校へ行きます。」をタイ語に翻訳したら、ฉัน(ちゃん;私)ไป(ぱい;行く)โรงเรียน(ろーんりーん;学校)と単語を並べるだけでOK。しかし、私奴の拙いタイ語では、どうしても通じない。なぜって、発音が難しいのですよ。つまり、タイ語には日本語にない声調があって、中国語の四声調を上回る五声調。この声調を誤ると意味が全く違ってしまい、全然通じないやっかいなものなのです。
出不精の当方がタイ語で話す機会は、外食時の注文か買物の時ぐらい。それも、一度たりとて通じた試しがない。だから何時もやけくそになって日本語で押し通すが、そのほうがタイ語の出来ない外国人との前提で応対してくれ、却って意思疎通が図れるから皮肉なものだ。
さて今日の昼餉は、チェンマイランドにある「北門」で鯖ステーキ定食(160฿)を喫食。ところが、白米に代わって焼き飯が出てきた。店員の娘(สาว)さん曰く、「白い御飯がない」と流暢な日本語でした。此処は日本人オーナーの焼肉店で、朝鮮料理もある。メニューをみると、ビビンバ(비빔밥)は90฿(≒¥230-)でしたね。
どうでもいいけど、看板を観たらคิตามอนとなってました。ところがローマ字表記はKITAMONDだって。それなら末尾に“ด์”を付けてคิตามอนด์でなければならない。
ところで、わたくしが覚えた最初のタイ語(挨拶言葉を除く)は何だと思います?
何を隠そうไม่เข้าใจ(まいかうちゃい;わかりません)。北京語なら「我不懂(うぉぷとん)」。
タイ語不案内のタイ語講釈でした。
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