■ 第三課 明治天皇
明治天皇ハマコトニスグレタオ方デイラセラレマシテ、御在位四十六年ノ長イ間、國ノタメ、人民ノタメニ、ヒタスラ政治ニ御勵ミアソバサレマシタ。其ノオカゲデ、天皇ノ御治世中ニ、我ガ國ハ何事モ進歩シテ、世界ノ一等國ノ一ツトナリマシタ。
明治四十三年ニハ、朝鮮ノ人民ニ對シテ、租税ノ一部ヲオユルシニナリ、又、大赦ヲ仰セ出サレマシタ。ソウシテ兩班(ヤンバン)・儒生(ジュセイ)ノ中デ、殊ニ徳ノスグレタ人ヤ、孝子・節婦ニ恩賞ヲ下サレ、又、ヤモメ・ミナシゴナド、タヨリノナイモノニ金ヲオ惠ミニナリマシタ。
其ノ上、金一千七百餘萬圓ヲ御下賜ニナリ、之ヲ朝鮮中ノ各府郡ニ分配シテ、産業ヲ勵マシ、教育ヲ進メ、凶年ニ備エルヨウニサセラレマシタカラ、朝鮮ノ人々ハ、永遠ニ、此ノオ惠ヲ蒙ルノデアリマス。マコトニ、アリガタイコトデハアリマセンカ。
今、朝鮮ノ各地方ニ見ルトコロノ蠶業傳習所トカ、機業傳習所トカ、普通學校トカハ、大抵皆、此ノ金カラ生ズル利子ヲイタダイテ居ルモノデアリマス。又、災難ニアッテ困ッテ居タモノデ、此ノ金デ救ワレタノモ少ナクアリマセン。
明治天皇ノオ生レニナッタ日ハ十一月三日デ、オカクレニナッタ日ハ七月三十日デゴザイマス。コレ等ノ日ニハ、イツモ明治天皇ノ御恩ノ大層深イコトガ思イ出サレテ、マコトニ有リ難ク感ゼラレマス。
・ 練 習
一、明治天皇ハ、明治四十三年ニ、朝鮮ニ對シテ、ドンナコトヲナサイマシタカ。
二、朝鮮デハ、明治天皇カラ御下賜ニナッタ一千七百餘萬圓ノ金ヲ、ドンナニシテ用イテ居マスカ。ソレヲ文ニオ作リナサイ。
三、次ノコトバヲ本字デオ書キナサイ。
タイシャ。オンショウ。デンシウジョ。
ゴカシ。コウシ。セップ。ソゼイ。
四、「蠶業傳習所トカ、機業傳習所トカ」ノ樣ニ、「トカ」ヲ用イテ、短文ヲオ作リナサイ。
明治天皇の鴻業をしらしめる記述で、いかにも戦前教育という感じがします。大正初期の教科書なので、これを学んだ朝鮮の人々も、多くはこの世の人ではないと推察されます。
練習問題三の解答は、「大赦・恩賞・傳(伝)習所・御下賜・孝子・節婦・租税」となりましょうか。使われなくなった言葉もあって、現代小学生では、難漢字とは別の意味で、ほとんど書けないでしょうね。自分自身、「節婦」という言葉は知りませんでした。
せっぷ 【 節 婦 】
節操をかたく守る女性。
ありがとうございました。
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