第五學年用第二二課「水師營の會見」(佐佐木信綱詞/岡野貞一曲)
一、旅順開城(りよじゆんかいじやう)約成(やくな)りて、
敵(てき)の將軍(しやうぐん)ステツセル
乃木大將(のぎたいしやう)と會見(くわいけん)の
所(ところ)はいづこ、水師營(すゐしえい)。
二、庭(には)に一本(ひともと)なつめの木(き)、
彈丸(だんぐわん)あともいちじるく、
くづれ殘(のこ)れる民屋(みんをく)に、
いまぞ相見(あひみ)る二將軍(にしやうぐん)。
三、乃木大將(のぎたいしやう)はおごそかに、
御(み)めぐみ深(ふか)き大君(おほきみ)の
大(おほ)みことのりつたふれば、
彼(かれ)かしこみて謝(しや)しまつる。
四、昨日(きのふ)の敵(てき)は今日(けふ)の友(とも)、
語(かた)る言葉(ことば)もうちとけて、
我(われ)はたたへつ、彼(か)の防備(ばうび)、
彼(かれ)はたたへつ、我(わ)が武勇(ぶゆう)。
五、かたち正(ただ)していひ出(い)でぬ、
『此(こ)の方面(はうめん)の戰鬪(せんとう)に
二子(にし)を失(うしな)ひ給(たま)ひつる
閣下(かくか)の心(こころ)如何(いか)にぞ。』と。
六、『二人(ふたり)の我(わ)が子(こ)それぞれに、
死所(ししよ)を得(え)たるを喜(よろこ)べり。
これぞ武門(ぶもん)の面目(めんぼく)。』と、
大將(たいしやう)答(こたへ)力(ちから)あり。
七、兩將(りやうしやう)晝食(ひるげ)共(とも)にして、
なほも盡(つ)きせぬ物語(ものがたり)。
『我(われ)に愛(あい)する良馬(りやうば)あり。
今日(けふ)の記念(きねん)に獻(けん)ずべし。』
八、『厚意(こうい)謝(しや)するに餘(あま)りあり。
軍(ぐん)のおきてにしたがひて、
他日(たじつ)我(わ)が手(て)に受領(じゆりやう)せば、
長(なが)くいたはり養(やしな)はん。』
九、『さらば。』と、握手(あくしゆ)ねんごろに、
別(わか)れて行(ゆ)くや右左(みぎひだり)。
砲音(つつおと)絶(た)えし砲臺(はうだい)に
ひらめき立(た)てり、日(ひ)の御旗(みはた)。
この唱歌は、「お手玉」のところで書きましたように、遊戯の合わせ歌として、子供の頃から知っています。今は亡き叔母さんは、妹に全歌詞を直伝したみたいですが、自分は四番辺りまでしか憶えていませんでした。
「昨日の敵は今日の友」は有名な台詞で、喧嘩の仲直りによく使ってましたね。戦争ごっこは、大抵、日露戦争でしたが、この歌を想起することはありませんでした。いつも、露助役をやらされていたからかしらん。
ありがとうございました。
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前とメールアドレスは必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント