夕食を摂るため、行きつけの中華店に入った。ここは、老夫婦(60歳代?)と独身の息子(30歳代後半?)で切り盛りしている。先客として、5名ほどいつもの父っつあん連中がいた。うち1名はかなりご酩酊なさっているようで、呂律が回らない。その方が、「お兄ちゃん、もう一杯。」と仰った。
この後の店側の対応はどうだったと思われますか?
① 客に言われるまま、酒を出した。
② 「酒はもうない。」と拒否したら、酔った客が怒りだした。
③ 「もう飲むのはよしなさい。」と嗜め、客も納得した。
④ 「もう飲むのはよしなさい。」と嗜めたら、客が怒った。
一般的には、①のケースが圧倒的多数のはずです。商売第一の考えからは、当たり前の行動かもしれません。しかし、心ある店員でも、④の展開を恐れ、①の行動をとってしまいがちではないでしょうか。
正解は③でした。私は、お兄ちゃんの「小さな勇気」に敬意を表します。目先の利益しか頭にない店では、決してとれない行動です。「お客様は神様」という意識で商売しています。
この客が体調を崩せば、店に来てくれないとわかっています。客(自分を含む)は、みんなで酔客を説得しました。酔客も怒ったりしないばかりか、素直に聞き入れました。
CS衛星放送「チャンネル桜」で、高森明勅先生は、「公衆道徳に反する、と思ったら必ず注意する。」と仰っていました。それも、相手以外には気づかれないよう耳打ちで。その結果、みんな素直に聞き入れてくれるそうです。険悪になったことなど、一度もないらしいです。
正しいことを行うのに、どうして躊躇する必要があるでしょうか。こうした「小さな勇気」の積み重ねが、正常な社会に戻す第一歩だ、と考えます。
2006年5月17日(水)の記事
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