ポリドール戦前の童謡歌手なら、永岡志津子(1922-)さんで決まりですね。
『絵日傘』『花かげ』『ニャンニャン踊り』などの日本調童謡ヒット曲がある。
なお、キングレコード(1933-)は、もともと出版業界講談社の音楽部門であり、創成期には自社工場がなかったため、レコード製造をポリドールに委託していたという。
残念ながら永岡さんの代表曲『絵日傘』(1932年3月)はネット上になく、次善の策として戦後テイチク盤で我慢しませう。
絵日傘(小西悦代/テイチク盤)
大村主計作詞/豊田義一作曲
櫻ひらひら 繪日傘に
蝶々もひらひら きてとまる
乳母のお里の 春の道
すみれの花も たんぽぽも。
まはす繪日傘 花吹雪
ひばりもぴいちく きてあそぶ
乳母のお里の 花の道
繪日傘 くるくる 通りゃんせ。
これと腹合せの姉妹曲『花かげ』も逸品。こちらもオリジナルの永岡盤ではなく、戦後盤で御免なさい。
花かげ(伴久美子/コロムビア盤)
大村主計作詞/豊田義一作曲
十五夜お月さま ひとりぼち
桜吹雪の 花かげに
花嫁すがたの お姉さま
車に揺られて 行きました
十五夜お月さま 見てたでしょう
桜吹雪の 花かげに
花嫁すがたの 姉さまと
お別れ惜んで 泣きました
十五夜お月さま ひとりぼち
桜吹雪の 花かげに
遠いお里の お姉さま
わたしは一人に なりました
う~む、どちらも西洋風に洗練されすぎて、戦前あった“旧き佳き日本”の独自色が足りないなあ。こうなると、余計オリジナルが聴きたくなる。
14 花かげ-永岡志津子(1932年3月)
もう一つおまけ。
幼児向けの童謡にしては、歌唱力を要する難曲揃い。『繪日傘』より『花かげ』が人気を得ている理由、わかる気がするなぁ。昔から明るさ一辺倒より翳りの濃い曲を好むのが我が国民性ですからね。
コメント